研究課題/領域番号 |
23593443
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
戸田 由美子 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (60325339)
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研究分担者 |
高橋 美美 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (30380330)
坂本 雅代 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (80290360)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アドボカシー / 精神科看護 / 質的帰納的研究 |
研究概要 |
本研究は、精神科熟練看護師への面接調査より、精神疾患患者への「看護アドボカシー」実践を抽出し、その看護実践を整理・分類することで精神疾患患者への「看護アドボカシー」介入モデルを構築することである。精神科熟練看護師21名に半構成的質問紙を用いた面接調査を実施し、質的帰納的分析を行った。その結果、協力者の概要:男性6名、女性15名の計21名、病棟勤務者17名(80%)、平均年齢44.5歳±7.51、精神科看護師歴平均14.1年±6.26、全看護師歴18.8年±7.55であった。事例の概要:男性18、女性21の合計39例。病名;統合失調症(妄想を含む)圏内31例、感情障害圏内4例、発達障害3例、摂食障害1例。事例の生活の場;入院中30例、在宅7例、中間施設2例。アドボカシーの場面(重複あり);患者-家族の対立14例、患者-地域住民との対立3例、患者-地域の支援者との対立3例、患者-医療スタッフとの対立5例、隔離・身体拘束の葛藤2例、一般科の治療拒否1例、治療上の問題(長期入院を含む)5例、患者の治療拒否(病気受容を含む)10例、合計43場面であった。アドボカシーの場面を分類すると、患者を取り巻く支援者に関する問題20、患者の治療に関する問題18、医療スタッフに関する問題5に分けられた。アドボカシーを実践する対象は圧倒的に統合失調症患者が多かった(約80%)。精神疾患の中でも、生活能力の低下や疾患による精神症状から暴力や奇異な行動等があるため、周囲との関係性が悪化していることが対人関係に支障を来し、アドボケイトを行う状況を作っていた。家族や地域住民、また地域の福祉施設の受け入れなど、周囲をいかに安心させて地域で生活できるようにするかが課題である。また、患者の治療拒否は精神疾患の特徴的なものでもあると言える。精神疾患患者に特徴的なアドボカシーの介入場面が明確となったと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画は、熟練看護師20名からデータ収集を行う予定であったが、21名よりデータ収集を行った。データ収集の人数は目標に達しているが、分析がまだ十分とはいえないため、おおむね達成というレベルであると考える。
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今後の研究の推進方策 |
23年度のデータ収集した内容をGrounded Theory Approach法に基づき分析を行い、足りないデータについて約10名の熟練看護師の協力を得て、データ収集を行う。それらを分析し、精神科看護におけるアドボカシーの看護介入の構築化を図っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
Grounded Theory Approach法によりデータ分析を行うにあたり、Grounded Theory Approach法における日本の第一人者の研究者より助言・指導を受けるため3回にわたり東京へ出向く。また、23年度は主に県内の精神科病院の熟練看護師からデータ収集を行った。今年度は不足したデータを県外の熟練看護師の協力を得て収集し、分析したいと考えている。さらに、23年度の成果を国内の看護系学会にて発表する予定である。
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