研究課題/領域番号 |
23593443
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
戸田 由美子 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (60325339)
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研究分担者 |
高橋 美美 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (30380330)
坂本 雅代 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (80290360)
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キーワード | アドボカシー / 精神看護 / 看護判断 |
研究概要 |
精神科病院における「看護アドボカシー」実践を抽出し、その看護実践を整理・分類することで精神科における「看護アドボカシー」の看護介入モデルを構築することを目的とし、本年は患者アドボカシーの看護介入へつなぐ資料とするため、精神科看護師が捉える患者アドボカシーの場面と判断を明らかにした。2県7施設の精神科勤務5年以上の看護師21名を対象に半構成的面接を実施した。事例は39例(男性17名、女性22名)、病名は統合失調症圏内31例、感情障害4例、発達障害3例、摂食障害1例、生活の場は入院中30例、在宅7例、中間施設2例であった。 【結果】<患者アドボカシーの場面>患者と家族の対立14例、患者と地域住民との対立3例、患者と地域の支援者との対立3例、患者と医療スタッフとの対立5例、隔離・身体拘束の葛藤2例、一般科の治療問題3例、治療上の問題5例、患者の治療拒否10例(重複有り)であった。<患者アドボカシー介入の判断>1.患者と周囲の人々との意見対立によるそれぞれの生活や安全の疎外、2.患者と医療者との方針対立による患者の選択や自己決定の疎外、3.本来受けられるべき医療や福祉を受ける権利の疎外、4.患者や家族の病気受容の低さが将来的に自分らしく生きる権利を疎外、5.治療や看護の不備による患者の自由の疎外、6.患者の財産権の疎外の6の主題が抽出された。 【考察】患者アドボカシー看護介入の判断は、患者の意思や自己決定、生活や安全をはじめとする基本的な人権が疎外されていると意識した時であった。精神疾患患者は、思考・感情や行動に支障をきたし、コミュニケーション能力の障害もあるため、時に人としての人格や尊厳が保たれない事態に陥る。その状況から、看護介入にあたっては、患者と取り巻く人々との人間関係や、判断根拠となる倫理観への関心を抱くことが要求されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
21名の熟練看護師にインタビューを行いデータ収集は十分であると考えられる。現在看護介入への判断の部分は抽出し、論文作成中である。看護介入については、訪問看護師3名分を行っている。今後、入院中の患者に対するアドボカシー介入を分析する必要がある。データ収集は十分だと思われるが状況によっては、対象者に再度面接をする必要があるかもしれない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度最終年として、残り18名分の看護介入を分析し、構造化する。面接内容をより充実させるために再面接をする可能性はある。その結果を報告書としてまとめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
看護介入を分析し、構造化し、報告書としてまとめる予定である。研究費は報告書作成費とともに再調査のための交通費、面接器具に使用する予定である。
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