研究課題/領域番号 |
23593449
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
高橋 和子 宮城大学, 看護学部, 教授 (00315574)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 在宅療養者 / 家族介護者 / 防災支援 / 他職種間連携 / 地震災害 |
研究実績の概要 |
本研究は、関係機関の連携による平時における在宅療養者の防災支援モデルを開発することを目的としている。 平成26年度は、平成25年度に在宅療養者の主介護者を対象にして行った防災支援ニーズを把握した質問紙調査の結果と、先駆的に取り組んでいる自治体等、関係機関から情報収集した内容を踏まえ、防災支援モデルの試案を作成した。防災支援モデルは、介護保険におけるサービス担当者会議等、関係者が集まる機会を利用して展開することを基本とした。取り組み開始時に、チェック表を用いて、療養者宅の災害の備えの状況を把握し、主介護者・療養者も含めた関係者で防災に向けた取り組み内容を検討する。6ヶ月間を目安に関係者が情報交換と協力しながら取り組み、成果を評価する。また、モデルの展開時に使用するツールとして、取り組み前後で、災害の備えの状況(チェック表)と、取り組み目標を記載する冊子を作成した。本冊子には、在宅療養において必要とされる災害の備えの情報を盛り込み、適宜、確認できるものとした。 防災支援モデルの試案による介入は、2ヶ所の介護サービス事業所の協力が得られた。事業所を通し、主介護者への協力依頼を行ったが、研究の趣旨および概要説明に応じた主介護者は3名であった。そのうち、実際の介入での取り組みに協力が得られた主介護者は1名となっている。研究期間の延長により、対象拡大を図っているが、プロセスの振り返りから、主介護者の災害の備えを図るアプローチ方法や、関係機関への働きかけなどの課題が見出された。そのため、介入事例での検討を行うと共に、今後は、研究協力を得ている事業所の関係者にインタビューを行い、主介護者が抵抗なく取り組める、防災支援モデルとするための改善点を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年度までの研究成果を踏まえて、研究メンバーでの検討および、関係機関の担当者等から意見を得るなどして、防災支援モデルの試案を作成した。 実際の介入での取り組みは、事業所からの研究協力は得られたものの、研究協力に承諾する主介護者の確保が困難な状況となっている。これまでの振り返りから、主介護者の災害の備えに対する認識は、これまでの経験、ライフステージの特徴、家族や近隣などの周囲の人との関わりなど、様々な要因によって異なっていることが見出された。災害の備えの関心も、関心のない人から、関心を持ち、既に何かしらの対策に取り組んでいる人まで含まれている。準備状況や認識が異なる対象者が関心を示す関わりの工夫が必要であり、リスクコミュニケーションの概念を基盤に、対象者の準備状況に合わせたアプローチの方法や、関係機関への働きかけの方法の再検討に向け、現在、準備をしている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の取り組み経過を踏まえて、防災支援モデルの試案の再検討を行う。再検討に際して、研究協力事業所の関係者へのインタビューの実施を計画している。加えて、先駆的取り組み事例で情報収集を行った自治体の関係者、災害看護の研究者等から意見を得る。また、可能な限り、研究協力の承諾の得られる主介護者を確保し、実用性の検討を進める。 これまでの成果は、本年度の日本災害看護学会等で発表する。また、関連学会への論文投稿に向け、準備を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象確保に時間を要しており、研究依頼や調整、データ収集、および学会発表の旅費の支出が予定より少なくなっている。また、データ収集に伴う、逐語録作成の作業やデータ整理の謝金の支出が少なくなっている。
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次年度使用額の使用計画 |
研究協力事業所の関係者へのインタビューや、先駆的取り組み事例で情報収集を行った自治体の関係者、災害看護の研究者等から意見を得るための旅費として支出する。また、対象者の確保により、データ収集等に伴う物品費、旅費および謝金として支出する他、学会発表のための参加費、旅費とする。
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