研究課題/領域番号 |
23593452
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研究機関 | 群馬県立県民健康科学大学 |
研究代表者 |
飯田 苗恵 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 准教授 (80272269)
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研究分担者 |
鈴木 美雪 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 講師 (90554402)
福島 昌子 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 講師 (20352619)
狩野 太郎 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 准教授 (30312896)
棚橋 さつき 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (30406300)
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キーワード | 褥瘡 / 訪問看護 / 皮膚・排泄ケア認定看護師 / 相談活動 / 情報技術 / 多機関協力システム / 専門性の高い看護師 |
研究概要 |
「4th Congress of the World Union of Wound Healing Societies」において、「Report on the actual status of bedsore consultations by certified skin/toileting care nurses at home-visit nursing stations」を発表した。 【目的】訪問看護ステーションに在籍する皮膚・排泄ケア認定看護師(以下、認定看護師)が、地域の訪問看護ステーションに実施した褥瘡相談の活動実態を明らかにし、課題を検討する。【方法】対象は2008年6月~2010年12月に褥瘡相談用に作成した電子媒体記録、調査項目は依頼施設の概要、褥瘡有する利用者の概要、褥瘡コンサルの概要等、分析は記述統計。【結果】依頼施設は10ヶ所、福祉施設が1ヶ所、相談者は訪問看護師30名、施設の看護師1名、褥瘡を有する利用者は48名、男21名、女27名。概要は、65歳以上91%、要介護5.6%、ブレーデンスケール17点以下93%、紙おむつ使用83%、低栄養状態90%、循環器系疾患33%で、褥瘡発生部位は、仙骨部31%、慢性期重症褥瘡60%。初回相談内容は、薬剤選択40件、スキンケア方法34件、認定看護師の提案は、スキンケア方法48件、除圧・減圧ケア42件、期間は平均48日。相談回数は延べ237回、認定看護師の同行訪問は125回、転帰は治癒・改善が52%、保有死亡が25%。【考察】褥瘡を有する利用者は、高齢で褥瘡発生因子を多く持ち合わせていた。相談内容は主に局所ケアで、認定看護師の提案はスキンケアや褥瘡発生要因へのケアであり、半数は治癒・改善を認めた。今後の課題は、難治化しやすい褥瘡患者への予防的スキンケア研修会の提供、難治化した褥瘡患者への褥瘡相談の標準化である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、褥瘡を有する療養者に対する地域医療の質保障の仕組みの1つとして、認定看護師が在籍する訪問看護ステーションが、地域の訪問看護ステーションの相談に対応する看護-看護支援型、褥瘡相談システムを情報技術による迅速で標準化した多機関協力システムとして拡充することである。 本年度前半は、認定看護師が使用している電子媒体記録から活動実態を明確にし、国内、国際学会への発表、論文投稿を進める中で課題を分析した。課題の分析は、現在使用しているデータベースの査定項目を改善し、相談者である訪問看護師が査定すべき項目とデータベースへの連動を吟味したシステムを構成する基礎となる。本年度後半は、研究フィールドでもある研究協力者が、体調不良のため休職となった。本研究は、先進モデルとして、研究フィールドを特定しているため、他の対象を求めることは困難であり、区分の通りの評価となった。
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今後の研究の推進方策 |
研究者と研究協力者は、現在実施している相談活動の内容や活動の課題を分析し、①目的・目標の設定、②予備調査、③仮説の設定を共同で行う。これら、①、②、③を踏まえ、相談依頼者のための褥瘡ケア査定項目の電子化(データベースの作成)および認定看護師が現在使用している褥瘡管理データベースに修正を加え情報共有機能を構成する。さらに、訪問看護指示医も共通利用できるツールを加え、チーム管理ツールを構成する。 《情報技術の迅速化》 ①認定看護師が現在使用している褥瘡管理データベースを修正、②相談依頼者のために抽出された査定項目の構造を吟味し、入力プロセスを設計する。データベースソフトウェアを活用し、相談依頼者のための褥瘡ケア査定項目の電子化(データベース作成)を行う。①と②を連動させ、双方の記載が組織横断的に活用できる情報共有機能を構成する。 《チーム管理を踏まえた褥瘡コンサルテーションの活動順序の再構成》 相談を受けてから修了するまでの間、相談活動を遂行するために行う管理者と認定看護師の活動・調整について記録する。記録された内容を時系列で整理し、訪問看護指示医との連携・調整も含む活動について基本手zつんを図式化する。さらに、管理者会議において、図式化した活動順序について吟味し、組織的な活動として了承を得る。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該研究費が生じた状況は、計画がやや送れているために、物品の一部および、電話回線を使用する通信料、情報の迅速化のための専門家への謝金を次年度に変更した事による。 次年度に請求する研究費と研究費と合わせた使用計画は、以下の通りである。 物品費:400,000(ipad5台、創傷被覆剤・スキンケア用品、文具) 旅費:100,000(調査研究交通費、成果発表旅費) 人件費・謝金:400,000(専門知識の提供、研究補助) その他:300,000(ipad通信料、文献複写、会議費)
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