研究課題/領域番号 |
23593453
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
横山 恵子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80320670)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 家族学習会 / 精神障害者家族会 |
研究概要 |
本研究の目的は、統合失調症の「家族による家族学習会(以下、家族学習会)」が、実施者家族および参加者家族の双方に与える影響、さらに家族会運営に与える影響を明らかにすることで、「家族学習会」の持つ意味と普及にあたっての課題、日本の家族会の将来のあり方を検討することである。「家族学習会」とは、家族による統合失調症の家族への教育プログラムであり、2007年度から地域精神保健福祉機構(コンボ)が普及事業を開始している。これは、精神障害者家族会の会員3~6人が担当者となり、保健所や医療機関などからの紹介を受けて、家族会につながっていない家族10人程度を集め、1回3時間、5回を1コースとして行うものである。「家族学習会」を開催したいと考える家族会は、北海道から九州まで全国に広がっている。今年度は、東京及び秋田において実施した「担当者研修会」を支援するとともに、家族会の実施する2か所の「家族学習会」に参加し、担当者家族2名にインタビューした。さらに、「家族学習会」を支援したいと考える専門職を対象とした「専門職支援者研修会」に参加し、専門職へのアンケート調査を実施した。現在、それらのデータを分析中で、「家族学習会」の持つ意味と普及にあたっての課題を整理したいと考えている。また、「家族学習会」の原型となった第1回目「家族学習会」の会話記録をデータ化し、担当者家族の用いた支援技術について分析した。その結果、「学習の理解を深める技術」「自分の考えを伝える技術」「リカバリープロセスを体験談から伝える技術」が見出され、これらの技術は、専門家にはない「家族学習会」独自の支援技術でだと考えられた。現在、学会誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大学の倫理委員会の審査において承認を得た。その後、データ収集機関である家族会への依頼、家族会及び「家族学習会」の参加観察を行っている。また、「家族学習会」を実施する家族を対象とした「担当者研修会」、専門職を対象とした「専門職支援者研修会」に参加して参加観察を行った。また、担当者家族のインタビューについては、2名終了した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も、同様の方法で、2か所の家族会及び「家族学習会」の参加観察を行う。また、「家族学習会」を実施する家族を対象とした「担当者研修会」、専門職を対象とした「専門職支援者研修会」に参加して参加観察を行う。担当者家族のインタビューを継続すると共に、家族学習会を支援している専門職へのインタビューを実施して、データ収集を行う。データの分析を並行して行う。さらに、全国に広がっている家族学習会の実施状況を調査、実態を把握する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究協力者への謝金、インタビュー内容を逐語録に起こす研究補助費とする。また、家族学習会を積極的に実施している他県の家族学習会の担当者、及び専門家へのインタビュー行うための、旅費とする。さらに、23年度の残金を活用し、全国に広がっている家族学習会の実施状況を調査する。残金は、そのための旅費及び調査費とする。
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