研究課題/領域番号 |
23593453
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
横山 恵子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80320670)
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キーワード | 精神障害 / 家族支援 / 家族学習会 |
研究概要 |
本研究の目的は、統合失調症の「家族による家族学習会(以下、家族学習会)」が、実施者家族および参加者家族の双方に与える影響、さらに家族会運営に与える影響を明らかにすることで、「家族学習会」の持つ意味と普及にあたっての課題、日本の家族会の将来のあり方を検討することである。家族学習会とは、精神障害者家族会(以下、家族会)の会員3~6人が担当者となり、家族会につながっていない家族10人以内に、小グループで行う体系的な学習プログラムで、家族のエンパワメントが目標であり、参加家族は仲間との共感の中で、実践的な知識を得ることができる。家族学習会は2007年に始まり、2012年には37か所実施している 本研究では、2010年に実施した家族学習会のうち、実施内容の評価の高かった5家族会と企画委員の家族会2家族会、合計7家族会をグッドプラクティス事例として、グループインタビューを行った。研究協力の家族会員は25名であった。 家族会員や家族会運営に与えた影響を、家族会ごとに整理し、家族学習会の持つ意味を検討した。その結果、家族学習会を始めた目的は、家族会の会員数を増やすことや高齢化した家族会の活性化であった。また、家族会本来の相互支援機能を向上させたいという希望もあった。家族学習会終了後には、ほとんどの家族会に新しい家族が入会し、会員数が増加していた。また、従来の家族会での話し合いは十分でなかったが、家族学習会後は話し合いができるようになり、家族間の垣根がなくなり自由に話せるようになったと話した。学習会の参加をきっかけに入会した会員が担当者に移行したり、家族会の役員や会長になったりなど、家族会の体制が変化していた家族学習会は、家族会につながりにくかった発病間もない家族を対象とすることで、会の若返りにもつながり、これからの家族会の発展にむけた多くの可能性を秘めていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2010年に実施した家族学習会のうち、5家族会と企画委員の家族会2家族会、合計7家族会のグループインタビューを行った。研究協力の家族会員は25名であった。担当者のデータ取集は終了し、データの分析を行った結果、担当者側から見た、家族会員や家族会運営に与えた影響を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、担当者のデータ分析を引き続き、詳細に行う。さらに参加者へのインタビューを行い、データの収集と分析を並行して行う。最終年度にあたるため、分析結果は学会にて報告するとともに、論文として投稿していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度は、家族学習会担当者と共に参加者へのインタビューを実施予定であったが、参加者へのインタビューができず、未使用額が生じた。次年度は、この費用も含めて、研究協力者への謝金、インタビュー内容を逐語録に起こすための研究補助費とする。また、家族学習会に関わる支援者からも、データ分析への助言を頂くための会議費、謝金とする。さらに、成果報告のための学会への旅費とする。
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