本研究の目的は、統合失調症の「家族による家族学習会(以下、家族学習会)」の担当者家族および参加者家族の双方に与える影響、さらに家族会運営に与える影響を明らかにすることで、家族学習会の持つ意味と課題、日本の家族会の将来のあり方を検討することである。 本研究では、家族学習会を担当した家族会員27名、参加者家族8名、さらに家族学習会の支援者4名へのグループインタビューを行い、分析した。その結果、家族学習が担当者および参加者それぞれの家族に与えた影響、さらに、支援者や家族会運営に与えた影響を明らかにすることができた。 担当者家族にとっての家族学習会の経験は、自信を取り戻し、精神障害者家族としての人生の意味を考える機会であった。担当者という支援側に回ることで、困難と後悔の負の体験が、人を助けることのできる価値ある体験へと変化していた。体験者だからこそできる自分の社会的役割を見出した家族は、リカバリーの道を前進していた。参加者家族は、家族学習会でテキストを輪読しながら体験を共有することで、家族としての経験を振り返り、担当者家族に、希望や回復モデルを見出していた。また、ストレングスに焦点をあてたグループワークで、自分の対処をより有効に実行するように方向づけられていた。一方、支援者は、これまでの支援者役割を脱して、家族と推進者が対等な関係になり、本来的なパートナーシップのあり方を理解する貴重なプログラムであると考えられた。 家族学習会は、家族会のチーム力の向上とともに、会員の増加や若返りなど、家族会の活性化につながっていた。さらに、家族支援というこれからの家族会の役割を見出す機会にもなっていた。今後は、家族学習会という家族支援を通して、新たな活動を広げていくことができると考えられた。 以上より、家族学習会は家族会活動の中に位置づけられるものであり、家族学習会が重要な機能を持つことが改めて確認された。
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