研究課題/領域番号 |
23593454
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研究機関 | 千葉県立保健医療大学 |
研究代表者 |
片倉 直子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (60400818)
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研究分担者 |
松澤 和正 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (00383092)
井上 洋士 放送大学, 教養学部, 教授 (60375623)
松嶋 健 京都大学, 人文科学研究所, 研究員 (40580882)
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キーワード | 訪問看護事業所 / 訪問看護 |
研究概要 |
【目的】本年度は,訪問看護事業所(事業所)における精神科分野の依頼とその対応状況の実態を把握することを目的として、調査を行った. 【方法】A県内200件の事業所の管理者に調査票を発送し,73件(回収率36.5%)を回収した.調査票の内容は,指定自立支援医療機関(精神通院医療)の届け出の有無,精神疾患をもつ利用者の保険別・指示書別人数,職員の精神科領域における勤務経験,平成23年4月から調査時までの精神疾患をもつ利用者の依頼状況,精神科を受診させたい利用者・家族の有無,精神訪問看護指示書による依頼に対する今後の対応状況である.構造的質問項目と自由記載を用い,前者は記述統計,後者は質的に分析した. 【結果】精神訪問看護指示書により主治医から依頼されている場合と,精神疾患を合併症として訪問看護指示書で依頼されている場合があった.1事業所でケアを提供している精神疾患をもつ利用者は,全利用者のうち少数であり,なおかつ介護保険により訪問看護を提供されている場合もあり,指示書と保険が混在して使用されていた.今後の精神訪問看護指示書による依頼について,7割強の事業所が条件つきながらも引き受けると回答した.その条件として精神科医療機関の主治医や精神保健福祉士との円滑な連携,緊急時のバックベッドの確保,安定した利用者の病状等をあげていた. 【考察】今後精神疾患をもつ者の訪問看護を促進していくために,事業所と精神科医療機関との円滑な連携,緊急時のバックベッドの確保等を整えること,この分野の研修の受講支援を行なっていくこと等が考えられた.60%強の事業所が精神疾患をもつ利用者へのケアを少数ながらも提供していることから,経験の少ない看護師への知識の啓発が重要と思われた. 【その他】今後の研究推進のために,地域精神科医療が活発であるイタリア(アレッツオ・ローマ)の精神保健福祉センターを視察した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の調査結果にもとづき、訪問看護師を対象とした研修を行う予定であった。しかし、精神科訪問看護療養費に関する診療報酬上の改定があり、単に調査にもとづいた研修を行う必要性の上に、訪問看護事業所が精神科訪問看護療養費を算定可能にできる有益な研修を再検討する必要が出てきた。 今後、精神科訪問看護療養費の算定可能な研修プログラムを計画し、実施していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、精神科訪問看護療養費の算定可能な研修プログラムを計画し、実施していく予定である。しかし、この研修は既存の団体との連携により開催できるものなので、A県の精神疾患をもつ利用者への訪問看護の研修ニーズに対応した内容を中心に、A県内で企画運営する方策を検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研修を行うための、講師謝金・交通費、研修の公報、研修資料作成のために使用していく。
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