研究課題/領域番号 |
23593459
|
研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
甘佐 京子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (70331650)
|
研究分担者 |
長江 美代子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 教授 (40418869)
土田 幸子 三重大学, 医学部, 助教 (90362342)
山下 真裕子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 助教 (40574611)
牧野 耕次 滋賀県立大学, 人間看護学部, 助教 (00342139)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | レジリエンス / 学校保健 / メンタルヘルス / 思春期 |
研究概要 |
教職員の置かれている現状、問題点の確認を行うために、中学校において保健主事を担当している教員を対象に、インタビュー調査を実施した。半構成面接とし、質問内容は「教員が、児童生徒に行うメンタルヘルス教育の実際」「教員が知りたいメンタルヘルスに関する知識・情報」「児童・生徒と対応するなかで、必要と感じる支援(メンタル部分で)は何か」である。収集したインタビューデータは質的データとして分析し、学校現場にて求められる、教育内容を系統的に抽出を行った。 インタビューのデータの分析は4名であり、現在も調査を引き続き行っている。データの分析は、追加データもあり終了してはいないが、協力者である教員からは、現場での指導に戸惑う声が多く聞かれている。中でも、生徒自身への指導に戸惑うというより、生徒の保護者への対応に非常に苦慮していることがうかがえた。精神疾患を疑う生徒であっても、保護者が納得しない限り医療につなげないこと、また保護者自身が精神的な問題(疾患)を抱えていることもあり、生徒のとっての最良の選択をすることの困難さが見られた。また、多くの場合、担任がその指導の中心になるが、教員の力量を周りの教員が把握し、状況に応じてヘルプしていくことの必要性も述べられていた。これらの語りより、中学校の教員が必要とかじる知識として、精神疾患やその治療が挙げられたが、同時に生徒にもそうした知識が必要であると述べる一方で、思春期の子供たちに対し、精神疾患をどのように教育していくかは多くの課題があるとも述べられていた。これらのデータをさらに追加分析し、学校現場が必要とするプログラム内容を検討していく。 また、ISPN(国際精神保健看護学会)に参加し、各国のメンタルヘルスの動向等について聞くことにより、メンタルヘルス教育の新たな知見を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、思春期初期の児童生徒を対象にしたメンタルヘルス・セルフマネージメント能力の開発プログラムの作成を目的としている。特にH23年度の目標としては、学校現場のメンタルヘルス教育の現状や、学校・教員のニーズを明らかにすることであった。研究目的の達成度としては、中学校の教員に対してインタビュー調査を行い学校現場でのニーズおよび中学校のメンタルヘルス教育の現状をあきらかにしてきた。しかし、予定では10人前後のインタビューを考えており、現在も引き続きデータを収集している。今後さらに分析を重ね、学校現場、特に教員側のニーズをより明らかにしていきたい。 また、生徒自身のニーズ調査(アンケート)をする予定であったが、学校側との調整がまだ十分ではなく、H23年度に行うことはできなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
1)国内における、小学校・中学校におけるメンタルヘルス教育の現状を把握 (1)児童・ 生徒の置かれている現状、問題点の確認(アンケート調査) 教職員の置かれている現状、問題点の確認(聞き取り調査)→昨年度からの継続2)海外で施行されている、メンタルヘルス教育を基に、国内の現状に応じたメンタルヘルス・セルフマネジメント能力の開発を目的といた長期的メンタルヘルス教育プログラムの内容・教材の検討・作成 1)2)の事項について、研究を進めていくことになるが、プログラムの試験的導入等が可能な学校との交渉も引き続き行っていきたい。また、Y市にある、精神科病院が早期介入事業の一環として、学校現場への介入を開始することとなり、本研究のプログラム運営等を協働して検討していく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
H24年度:MindMatter・レベル1入門ワークショップへの参加および、研究情報の収集にてオーストラリアに渡航を計画している。渡航費は1人約10万円、滞在および研修費として15万円を予定している。また、具体的な教材開発に着手するために、ビデオカメラやビデオデッキの購入。また、視聴覚教材や教材デザインを検討するためにグラフィックソフトを購入し各施設に配布(同環境で検討可能にするため)。研究打ち合わせ会および検討会義については、H23年度と同様に開催していく。また、昨年度から収集しているデータをもとにメンタルヘルス教育のニーズに関する内容を一部、日本看護科学学会において発表する予定である(東京)。
|