研究課題/領域番号 |
23593466
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
田中 美智子 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (30249700)
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研究分担者 |
江上 千代美 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (50541778)
長坂 猛 宮崎県立看護大学, 看護学部, 准教授 (30332977)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 睡眠 / 自律神経反応 / 主観的評価 |
研究概要 |
睡眠は年齢や性差に影響されると報告されている。しかし、日常生活の中で、簡易的に睡眠状態を評価した研究があまり認められない。高齢者の日常生活下での睡眠評価をするためには、まず、若年者において、簡易的な睡眠評価が可能であるかを検討する必要がある。そこで、男女の若年者における、入眠してから2時間30分の時系列データから解析した自律神経活性の変化及び起床時の睡眠に対する主観的評価を検討することで、睡眠状態について評価した。 青年および成人期の男女で、女性5名(女性群19~38歳)および男性5名(男性群19~26歳)を対象とした。就寝前に簡易心拍計(Polar RS 800)の電極を胸の周りに、心拍計は腕に装着した。翌朝、記録したRR間隔の時系列データをローレンツプロット法で解析し、自律神経反応を調べた。対象者の前日の睡眠状態を把握するために、入床時間、入眠時間、夜間覚醒回数、起床時間および主観的評価について調査票に記入してもらった。 男女ともRR間隔は入眠とともに延長し、女性では入眠後約70分、男性では約80分までRR間隔は短縮したが、その後にさらに延長した。女性群では交感神経系の指標であるL/Tは入眠後ただちに減少したが、男性群では一度増加した後、減少した。睡眠の質に対する主観的評価は男性の方が良好で、睡眠時間も長い傾向であった。 入眠時のRR間隔の延長や心拍数の低下は性別に関係なく認められたが、性別の違いでRR間隔の経時的変化と自律神経系の反応に違いが見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に健康な青年・成人10名を対象とし、睡眠状態の評価を行い、その後、高齢者10名を対象に睡眠状態の把握を行うことを計画した。青年・成人10名に関しては、ほぼ測定を終了しており、高齢者に関しても6名の測定を終えている。青年・成人及び高齢者の心拍変動解析に関してもほぼ終了している。
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今後の研究の推進方策 |
青年・成人の測定はほぼ終了しているが、心拍変動解析による自律神経反応やRR間隔の変化での周期などが睡眠状態とどのように関係するかについては今後も検討を進めていく必要がある。 高齢者の睡眠状態を把握する例数を増やすことが必要である。また、高齢者に対して、睡眠前のケアとして、温罨法が考えているため、温罨法の効果について、温罨法施行時と温罨法非施行時を比較し、温罨法ケアの効果について検討していく予定である。 具体的には、健康高齢者(男女)約20名を対象とする。温度及び湿度が整った部屋で、対象者が楽な服装で、仰臥位で安静状態での測定とする。温罨法ケアの実際はアイマスク型の温罨法で、蒸気温熱シートを用いる。温罨法を貼用する条件と温罨法でないただのアイマスクを貼用する条件の2条件での自律神経反応、ストレスホルモン及び主観的評価への影響について比較検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費に関しては、高齢者の睡眠状態を把握する例数を増やす必要がある。できるだけ効率よく研究を進めるために、眠りスキャンを1台(136500円)追加購入する予定である。残りの金額は唾液分析のためのkitを購入し、睡眠時及び温罨法ケア時のストレスホルモンの変化について検討する。また、高齢者への温罨法ケアの研究で支出する謝金として、20名の対象に2回(温罨法条件と温罨法無し条件)、測定に参加してもらうために、1回の測定の謝金を5000円として、20名×2回×5000円=200000円を計上している。さらに、平成23年度の結果発表と共同研究者と打ち合わせを行うために、旅費を計上している。
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