研究課題/領域番号 |
23593466
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
田中 美智子 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (30249700)
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研究分担者 |
江上 千代美 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (50541778)
長坂 猛 宮崎県立看護大学, 看護学部, 准教授 (30332977)
近藤 美幸 福岡県立大学, 看護学部, 助手 (90468306)
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キーワード | 高齢者 / 睡眠 / 主観的評価 / センサーマット型睡眠計 / 睡眠日誌 |
研究概要 |
高齢者においては3人に1人が睡眠問題で悩んでいると示されている。高齢者の睡眠の特徴として、熟睡となるノンレム睡眠のステージ3や4の減少、入眠困難、中途覚醒及び早期覚醒などの睡眠障害が報告されている。高齢となると地域で日常生活を送ることができていても、自身の心身の不調、配偶者の介護や死、親族や近所付き合いの希薄化など多くのストレス要因に曝されており、これらは睡眠に影響すると考えられる。また、高齢者の日常生活は個別性に富み、集団で検討するのは難しい一面もある。近年、臨床現場では、アクティグラフと睡眠日誌やセンサーマット型睡眠計とアクティグラフの比較を行うことで、臨床現場でも使用可能な睡眠評価ツールが模索されている。日常的な睡眠状態を捉えるために、高齢者1名を対象に、センサーマット型睡眠計での測定とともに、睡眠日誌を記載してもらい、この2つの方法での睡眠評価について比較検討を行った。加えて、睡眠に対する主観的評価と各睡眠評価指標との関係についても検討した。調査期間は2012年3月~2013年8月までの1年6ヶ月で、この30回の調査を今回、分析対象とした。対象の女性は、調査開始時75歳で、日常生活は不自由なく送れており、内服なども受けておらず、睡眠に関しても、翌日、外出などの用事があるときは、気になって眠れないこともあるが、ほぼよく眠れているという自己評価をしていた。センサーマット型睡眠計と睡眠日誌での比較は入床時間や睡眠時間において有意な正の相関が認められ、日誌は対象者の睡眠状況を把握する上で、貴重な情報源となり得ると考えられた。主観的評価と日誌からの起床時刻、入床時間、睡眠時間、熟眠度及び夜間覚醒回数は関係が認められ、入床時刻や入眠潜時には関係が認められなかった。睡眠に対する主観は入眠時の状況よりも夜間覚醒回数、睡眠時間及び起床時の状況に影響を受けることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、高齢者の人数を限定し、個々の高齢者の日常生活の中での睡眠を丁寧に調べるために、測定、解析しているところである。これまでに収集した結果を解析しながら、あと、2~3名程度の対象者の結果を加えることで、一定の結果が示せる状態であるため、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、収集した結果を確認し、対象者数の不足がみられる場合は、若干名のデータを追加する。また、これまでにサンプリングした唾液中のメラトニンやコルチゾールなどの濃度を測定し、心電図の解析を行い、それらの結果をもとにまとめを行う予定である。今後、成果発表をしたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
3月・4月の期間に、唾液サンプルの解析を行う予定で、試薬を2月に注文したが、試薬の入手ができず、その分の費用が持ち越しとなった。試薬にも消費期限があるため、前もっての購入は難しい。よって、解析を行う1ヶ月前の注文がベストであるが、今回、業者の在庫が切れていたこともあり、入手ができず、その費用を次年度に回した。 現在、唾液解析に関しては、未分析のサンプルがある。2月から、高齢者の研究協力者が2名が新たに加わったため、その際のサンプルの解析をする必要がある。また、今後、データを見直し、解析ができないデータがある可能性があるため、データ数を増やす必要がある。今後、早い段階で、若干名の対象者をリクルートして、測定を行い、採取した唾液サンプルを、これまで保存しているサンプルと一緒に解析していくこととする。
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