研究実績の概要 |
平成26年度は、高齢者の睡眠の質を評価する主観的評価と入眠してから2時間の自律神経反応について検討した。対象は7名の高齢者(年齢64~82歳)で、3~6日間、睡眠評価を自宅で行った。測定項目は心拍変動、眠りスキャン(睡眠時間など)、質問紙による入眠時間、起床時間、主観的評価であった。心拍変動もしくは眠りスキャンの結果が記録できていた日が、21夜であり、1名あたり、1夜~6夜であった。睡眠時間、睡眠潜時、主観による睡眠の質は、それぞれ363.5±78.4(分)、19.5 ±17.0 (分)、67.9±20.1であった。平均のRR間隔は覚醒時に比べて、入眠すると徐々に延長し、その後、短縮した。副交感神経系の指標も同様の変化であった。睡眠の質と睡眠時間もしくは睡眠効率は正の相関(r=0.607, r=0.539)があった。RR間隔が入眠することで延長した16夜では、睡眠の質と睡眠時間もしくは睡眠効率に正の相関(r=0.580, r=0.531)がみられたが、RR間隔が睡眠中短縮した夜は有意な相関がみられなかった。入眠することで副交感神経系が増強した15夜では睡眠の質と睡眠時間もしくは睡眠効率は正の相関(r=0.701, r=0.560)が認められ、この相関係数は、全体での相関係数よりも高い値であった。睡眠の質は睡眠時間に関係するが、自律神経系の反応にも影響する可能性があることが示唆された。 研究期間全体では、平成23年度に青年・成人期の男女の睡眠状態を評価し、性別でRR間隔の経時的変化と自律神経系の反応に違いが見られた。平成24年度は高齢者を対象とし、睡眠評価を行ったが、対象の高齢者は個々で生活が確立していたので、睡眠時の反応に個別性がみられた。また、平成25年度は1名の対象を、長期に評価した睡眠について、睡眠日誌と眠りスキャンでの結果を比較したがどちらも同様の結果が得られた。
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