研究課題/領域番号 |
23593467
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
小森 直美 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (70438307)
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研究分担者 |
二重作 清子 純真学園大学, 保健医療学部, 教授 (70321221)
山崎 律子 福岡県立大学, 看護学部, 助教 (70321304)
林 さやか 福岡県立大学, 看護学部, 助手 (80612960)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 訪問看護師 / 人材育成 / キャリア形成ラダー |
研究概要 |
本研究は、訪問看護ステーションで働く訪問看護師の人材育成を目的としたキャリア形成ラダーを開発し、その有効性を検討するものである。 平成23年度は、1.訪問看護師および訪問看護ステーション管理者118名に対し、自記式質問紙調査および聞き取りを実施した。2.患者・家族10名に対し、インタビュー調査を行い、患者・家族が求めている訪問看護師像を明確にするとともに、訪問看護師の評価基準を作成した。 結果1.訪問看護師らは、その多くが経験豊富な看護師経歴を持っているにも関わらず、訪問看護師としての経験は浅いことがわかった。また、訪問看護師らの十分な看護師経歴を活かしきれていないこともわかった。そのため、患者・家族の評価が気になっていることもわかった。それは、患者・家族の訪問看護師らに対する評価が、十分に伝わってないことが推測された。このことから、患者・家族の評価を、訪問看護師らのやりがいにつながる形で伝えることが重要であると考えた。これは、訪問看護師の自分自身が行っている看護内容について、悩みを抱えている内容にもつながっている可能性があった。 結果2.訪問看護師らは、訪問看護ステーション内で役割や係をもっていないことがわかった。しかし、訪問看護師らは、役割や係がないにも関わらず、自分の立場をいつも考えて行動しているということもわかった。このことから、訪問看護師らには、ある程度の責任ある役割や係を任せることでやりがいを感じる機会になり得ることが示唆された。 結果3.患者・家族らは、毎日の病態の安定性を望み、訪問看護師の技術よりも一生懸命さを評価していることがわかった。また、それぞれの訪問看護師には感謝をしているものの、看護師が輪番制で変わっていくこと、看護師によって技術や指導内容が異なっていること等に不安を覚えていることも改めてわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、訪問看護ステーションで働く看護師の人材育成を目的としたキャリア形成ラダーを開発し、その有効性を検討するものである。 平成23年度は、ラダー開発の前段階として、訪問看護師及び患者・家族への調査年度に該当する。訪問看護師への調査については、訪問看護師118名を対象に調査を行っており、この調査結果は、平成24年度開催される学会等への発表段階にある。しかし、患者・家族の調査は10名程度に留まっており、引き続き、平成24年度も継続実施する予定である。その全ての調査結果を分析し、平成24年度にはラダー開発を行い、試験運用を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、1.平成23年度に引き続き、患者・家族を対象とした調査を行い、分析した結果をキャリア形成ラダーの評価基準に活用する。平成24年8月から10月にかけて患者・家族を選定し、病態の安定性を見ながら実施する計画である。2.訪問看護師118名を対象に行った調査結果をもとに、訪問看護師のキャリア形成につながるラダーを開発し、試験運用を開始する。現在、訪問看護ステーション5施設(対象者20名程度)で試験運用を予定している。訪問看護基礎技術アクションチェックリストと段階別効果的人材評価表をもとに、訪問看護師の実践能力習熟度段階表を検討する。3.キャリア形成ラダーを開発後、訪問看護ステーション管理者らに意見等をヒアリングし、その見直しを行う。4.訪問看護師および訪問看護ステーション管理者を対象に行った調査結果を学会等で発表、報告する。 平成25年度は、試験運用を踏まえて、キャリア形成ラダーの修正と、訪問看護ステーション管理者らから評価を受ける。また、その結果を学会等で報告する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費使用計画は、1.患者・家族への謝礼等、2.データ入力等作業を行う際の人件費、3.学会等への発表及び報告に伴う交通費、4.患者・家族らの調査に関する出張費、5.会議を行う際の経費、6.ラダー印刷費、7.研究の試験運用に携わる訪問看護師および管理者らへの謝礼等を予定している。 平成23年度に支払いを受けた研究費のうち平成24年度に研究費が生じた状況は、患者・家族を対象とした調査が10名程度に留まっているためである。病態の安定性や、患者・家族の負担軽減を考慮し、平成24年度以降に継続して実施することとなった。また、患者・家族の調査に関しては、本研究の核となる部分であり、平成24年度も継続して実施する必要がある。そのため、平成24年度以降に請求する研究費と合わせて実施する計画を立てている。
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