研究課題/領域番号 |
23593470
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
浅川 典子 埼玉医科大学, 保健医療学部, 准教授 (00310251)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 認知症 / ケアマネジメント / 独居高齢者 / ケアマネジャー |
研究概要 |
認知症高齢者は、認知機能の低下により、自己が不安定で、環境の影響を受けやすく、生活を営む力が障害されやすい。そのような認知症高齢者で、かつ独居生活を送る高齢者へのケアマネジメントを実効性のあるものとするためには、認知症高齢者の特徴をふまえた上でケアマネジメントを実践する能力が不可欠である。しかし、それらを把握するために適した測定用具は先行研究において見あたらない。本研究は、独居認知症高齢者の在宅生活継続を支援するケアマネジャーのケアマネジメントスキルを客観的に捉えられる尺度の開発を目的としている。独居認知症高齢者ケアマネジメントスキル尺度を開発し、その信頼性と妥当性を検証する。本年度は、尺度の構成項目案の作成を行った。2011年7月~8月にA県内の地域包括支援センターに勤務する主任ケアマネジャー17名を対象にインタビュー調査を行い、自身の独居認知症高齢者支援の経験について語ってもらうと同時に、地域包括支援センターの役割の一つである、居宅介護支援事業所のケアマネジャー支援を通して独居認知症高齢者へのケアマネジメントに求められると考えていることについても語ってもらった。インタビュー内容から、独居認知症高齢者のケアマネジメントの特徴を抽出し尺度の構成項目案を作成した。尺度の構成項目の作成は、尺度開発の重要な基盤となるため、独居認知症高齢者支援の経験の多い立場にある地域包括支援センターの主任ケアマネジャーのインタビューデータをもとに尺度項目を作成できたので、現実的なケアマネジメントスキルを反映した尺度として検討していく基盤を完成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、尺度の構成項目案の作成については、過去に行った質的研究の結果や文献をもとに項目を収集し尺度の原案を作成することとしていた。しかし、独居認知症高齢者の在宅生活継続支援につながるような実効性のあるケアマネジメントスキル項目を抽出するためには、現実に行われているケアマネジメントを踏まえることが必要であるとの判断から、地域包括支援センターの主任ケアマネジャーを対象としたインタビュー調査を行い、項目作成を行った。そのため、予定していた、エキスパートレビューによる項目の精選、予備調査については、十分に進めることはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、作成した尺度の構成項目案をもとに、エキスパートレビューによる項目の精選(独居認知症高齢者のケアマネジメントに精通した熟練ケアマネジャーと内容妥当性、表面妥当性を検討し項目を修正)、予備調査(ケアマネジャーを対象に調査し、反応分布の偏りの検討、項目分析を行う)を行い、独居認知症高齢者ケアマネジメントスキル尺度原案を完成させ、本調査である全国調査を行う予定である。全国調査は、全国のケアマネジャーを対象とした調査を実施し、尺度の信頼性・妥当性を検証する。具体的には調査は、一次調査と二次調査の二段階で行う。・一次調査:独居認知症高齢者のケアマネジメント経験のあるケアマネジャーを得るために、全国より10%無作為抽出した居宅介護支援事業所を対象に調査する。・二次調査:一次調査にて回答の得られた独居認知症高齢者のケアマネジメント経験のあるケアマネジャーを対象に質問紙調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は主に、予備調査、本調査(一次調査・二次調査)を行う経費として使用する。(1)予備調査では、研修会や事例検討会参加のケアマネジャー100名に郵送調査を実施するための、調査票作成、郵送費などの経費として使用する。(2)本調査の一次調査では、全国の居宅介護支援事業所33,007ヵ所(2010年9月30日現在)のうち、10%無作為抽出した3,300ヵ所の事業所を対象に、往復はがきで調査の趣旨と概要を説明、独居認知症高齢者のケアマネジメント経験を有するケアマネジャーの有無と人数を問い合わせ、経験のあるケアマネジャーに対する調査協力を依頼し可否を返信してもらう調査を実施するための、居宅介護支援事業所の住所データ入力、調査票作成、調査票の郵送などの経費として使用する。(3)本調査の二次調査では、一次調査で調査への協力が得られた独居認知症高齢者のケアマネジメント経験のあるケアマネジャー(1000事業所程度を予定)を対象に自記式質問紙を用いた郵送調査を実施するための、調査票作成、郵送などの経費として使用する。
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