研究課題/領域番号 |
23593475
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研究機関 | 新潟青陵大学 |
研究代表者 |
斎藤 まさ子 新潟青陵大学, 看護福祉心理学部, 准教授 (50440459)
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研究分担者 |
本間 恵美子 新潟青陵大学, 大学院臨床心理学研究科, 教授 (80219245)
真壁 あさみ 新潟青陵大学, 看護福祉心理学部, 教授 (20290067)
内藤 守 新潟青陵大学, 看護福祉心理学部, 助教 (80410249)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ひきこもり / 親の会 |
研究概要 |
ひきこもり「親の会」は、抑うつ状態や不安に苦しむ家族にとって、孤立感を和らげ、心を安定させ、家族のエンパワメントを可能とする。また、そのプロセスにおいて子どもの変化に有意義にはたらく可能性が高いと言える。しかし、ひきこもりの背景、ひきこもっている期間、家族の状況等さまざまであり、個別のニーズに対応できるような支援が必要である。そこで、自助グループ引きこもり「親の会」において、継続参加と参加者の有効なエンパワメントが可能となるような支援プログラムを提案することを研究目的とした。目的達成のために、H23年度に実施することは、実際に「親の会」に参加する家族の声を丁寧に聴くことであった。各地の「親の会」に所属し、継続参加する家族に対して半構造化面接調査を実施した。九州、東海、北陸地区で30名の協力者が得られ「親の会」に入会するまでの心理・社会的プロセス、「親の会」への参加動機・期待・不安・サポートの程度と内容、帰属意識などを伺った。さらに、各「親の会」の代表からは、運営に関することや利用している制度、サポートについての情報も話していただいた。 計画通りの進行であり、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチで、分析を開始している。論文にまとめ発表するとともに、分析から得られた構造図をリーフレットとして各地に配布したい。「親の会」を通した家族の体験は、どこにも相談できず子どもとともに引きこもりぎみの生活を送る多くの家族の心理面に、あるいは「親の会」の運営に役立つ可能性がある。さらに、このデータと質的な分析結果は、研究目的を達成するために第2段階として次年度に実施する「親の会」の会員を対象としたアンケート調査(500名)の質問項目の基になるものであり、より実際の声を反映した調査用紙が作成できるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H23年度中に20名、H24年度前半に10名の面接調査を実施する予定であったが、H23年度中に目標の30名の調査を達成できた。 理由として、日頃からネットワークを組む新潟市の「親の会」の代表が、全国組織の会長や各地の「親の会」に声をかけてくださったこと、及びそれに賛同してくださった30名の研究協力者の方々の、ひきこもり対策への熱意が協力体制に大きく影響を及ぼしていたと考える。さらに、ネットワークを組む医師が「親の会」に働きかけてくださったことも大きい。研究代表者が3年間関係を紡ぎながら、家族と関わってきたことも要因の1つかもしれない。 研究班が臨床心理士、小児看護師、精神看護師の経験を有し、それぞれの専門性に関連の深いひきこもり問題に対して自己研鑽を積んでいること、定期的に打ち合わせ会議を開くことにより研究の意義を共有できていることが精力的な活動につながったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
収集したデータから、重要項目を見出す作業、及び修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)により分析を実施する。これにより、家族の声や心情を反映した調査用紙を作成しアンケートを実施する。次に各地の「親の会」に協力依頼し、配布・回収し分析する(目標500名)。M-GTAにより分析した結果を学会発表する。さらに、構造化したものをリーフレットで各地に配布したい。 H25年度には、アンケート調査結果を踏まえ、各家族が抱える条件に配慮した支援プログラムを提案する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度の計画は、(1)データの質的分析作業のためのスーパーバイザーへの謝礼5万円、(2)調査用紙配布と回収のための各地への旅費や郵送料で50万円、(3)学会発表の手続き・旅費・リーフレット作成等で30万円、(4)研究支援者に依頼するデータ入力の謝礼、調査用紙の作成のための印刷代・会議費などで5万円を計上している。 なお、他大学も毎年「親の会」を対象とした研究を実施しており、回収率低下の対応策のために、共同でアンケート調査を実施する予定である。調査用紙の印刷、配布と回収までをこちらで分担することとなっている。
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