研究概要 |
本研究では地域在住高齢者に対してグループ回想法を実施し,短期効果検証を行うことを目的とした。(1)アロマを併用したグループ回想法の実施対象:地域在住高齢者10名(F4名、M6名)年齢(71歳~86歳,平均77歳),期間(H23年6月21日~8月23日)方法:広報誌により参加者募集,週1回,1時間,計8回の施行。プログラムは,成長発達段階にそったテーマと季節の思い出を織り込み,毎回室内にアロマを使用した。統計解析はSPSS12バージョン(spss社)を使用。倫理的配慮:NPOシルバー総合研究所倫理審査を受けた。結果:介入前後の認知機能・QOLでは有意差は得られなかったもののQOLの6下位尺度に平均値の改善がみられ,「活力」「社会生活機能」,「日常役割機能(精神)」「心の健康」「体の痛み」は,介入後,国民標準値を大きく上回った。回想法に参加し,社会交流することで,体の痛みが緩和され,活力と気持ちの充実がみられていることが示された。TAS9法による加速度脈波測定では,血管状態に関わるスコアに有意な改善がみられた他,自律神経系の調整作用,すなわち抗ストレス性に関して改善傾向が観察された。このことから、TAS9では、血管状態の改善(心肺機能の改善)が示唆され,その原因として,回想法によって日常での慢性的ストレスの改善が得られたものと考えられる。今後,長期調査を行うことでより詳細な結果が得られる可能性もあると考えられた。(2)一般的回想法を実施一般対象:地域在住高齢者8名(F4名,M4名)年齢(65~74歳,平均71歳),期間(H23年11月30日~H24年1月24日)(解析対象者)結果:介入前後の認知機能・QOLでは有意差は得られなかったものの認知機能とQOLの「体の痛み」に平均値の改善がみられた。いずれの対象者も介入前から健康度や活動度が高く有意差が得られなかったものと思われる。
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