研究課題/領域番号 |
23593479
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
田中 和奈 中部大学, 看護実習センター, 助手 (90511155)
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研究分担者 |
百瀬 由美子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (20262735)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / 英国 / オーストラリア / マレーシア |
研究概要 |
欧米においては、認知症高齢者にも使用可能な疼痛評価ツールの開発が1990年代以降行われているが、高齢者入居施設における疼痛評価は的確に実施されていないことが先行研究により明らかとなっている。平成21年度~平成23年度にかけて日本の介護老人保健施設の軽度認知症高齢者を対象とした疼痛評価ツールの開発と妥当性検討を行い、日本語版の疼痛評価ツールの妥当性が示唆された。本研究では、日本の軽度認知症高齢者を対象として開発した疼痛評価ツールの英訳版を作成し、海外においても使用可能な軽度認知症高齢者のための英訳版疼痛評価ツールの汎用性検討を行うことを目的とした。平成23年度は、英国の老年看護の専門家である調査協力者およびオーストラリアの緩和ケアの専門家である調査協力者、日本の老年看護の専門家である研究分担者と共に英訳版疼痛評価ツールの各項目の表現および項目としての妥当性検討を実施し、英訳版疼痛評価ツールを作成した。作成した疼痛評価ツールは、英国・マレーシア・オーストラリアの3カ国の高齢者入居施設で生活する軽度認知症高齢者に対して1ヶ月間試用し、汎用性検討を実施する。平成23年度は英国における調査協力施設と調査開始時期および調査方法についての打ち合わせを実施し、平成24年度の調査についての調整を行った。平成23年3月には、マレーシアの調査協力施設も訪問し、施設責任者に対して調査内容および調査方法の説明を行い、平成24年度の調査実施の承諾を得た。オーストラリアにおける調査は平成25年度に実施予定である。本研究により海外および日本で使用可能な疼痛評価ツールを開発し、導入効果を検討することは、今後の高齢者ケアの質的改善に必要不可欠であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度には、日本の介護老人保健施設における疼痛評価ツールの妥当性検討を実施し、今回作成した疼痛評価ツールの日本語版の妥当性が検証された。また、英訳版の疼痛評価ツールについては、英国・オーストラリア・日本の3カ国の老年看護・緩和ケアの専門家によって疼痛評価項目の表面妥当性の検討を行い、英訳版疼痛評価ツールを作成した。平成23年度に英国における調査を開始予定であったが、調査施設の施設経営者の交代などがあったため調査の開始が行えなかった。そのため、英国における調査とマレーシアにおける調査は平成24年度に実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度には英国の高齢者入居施設2箇所、マレーシアの高齢者入居施設1箇所において英訳版疼痛評価ツールの試用を軽度認知症高齢者を対象に行い、ツールの汎用性検討を実施する。また、平成25年度にはオーストラリアの高齢者入居施設2箇所において英訳版疼痛評価ツールの試用を行い、ツールの汎用性検討を実施予定である。英国・マレーシア・オーストラリアでは現地の研究協力者と連携を取り、研究代表者および研究分担者が各施設を訪問し、データを回収し、回収したデータの分析を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
英国およびマレーシアの施設に勤務する看護職に対して、疼痛評価ツールの記載に関連して生じた時間的拘束を考慮して謝金の支払いを行う。謝金の支払いおよびデータ回収のため、研究代表者が各施設を訪問する必要があるため、海外旅費の支出が予定されている。また、英国・マレーシアの調査協力施設への疼痛評価ツールなどの書類送付のために、海外への郵送料の支出が必要である。平成24年度には、英国およびマレーシアで回収したデータの分析に使用するため、備品としてノートパソコンを1台購入予定である。
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