研究課題/領域番号 |
23593483
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研究機関 | 園田学園女子大学 |
研究代表者 |
西本 美和 園田学園女子大学, 健康科学部, 講師 (20314495)
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研究分担者 |
大西 香代子 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (00344599)
小松 明 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (80075423)
田中 美穂 東邦大学, 看護学部, 助教 (80385567)
木村 聡子 園田学園女子大学, 健康科学部, 助手 (90524918)
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キーワード | プラシーボ / 精神科医療 / 自律 / 質問紙調査 / 精神科医 / 精神科看護師 |
研究概要 |
看護師および医師に関するプラシーボ使用の実態調査は終了し、現在は結果の分析を実施している。 看護師のプラシーボ使用の実態は以下のような結果になっている。日本の精神科病院1114施設のうちランダムに抽出した259施設に本研究実施の意向調査を実施し29施設(意向調査回収率11.2%)から了承を得た。調査の了承を得た施設の看護師1529人に質問紙を配布、948人から回答があった(回収率62%)。質問内容は、1)属性、2) プラシーボ使用に対する主観、3)プラシーボ使用の実態などとした。プラシーボ与薬に対する主観(複数回答可)では、948名中「実薬に比べて副作用がないので、プラシーボを試す価値がある」557名(58.8%)、「患者によっては依存傾向を強めるために、実薬よりもプラシーボを使うほうがよい」428名(45.1%)、など肯定的意見が多く、「業務のためとはいえ抵抗がある」136名(14.3%)、「プラシーボとわかって、患者の信頼を失うのが怖い」125名(13.2%)などの抵抗を示す意見は少なく、その倫理的問題に関しては関心が薄いと考えられる。プラシーボ使用実態は使用経験がある人は948名中888名(93.8%)、ない人は53名(5.6%)であった。また、使用する際には「包括指示で看護師がその場に合わせて判断している」が616名(65.0%)と多かった。 医師のプラシーボ使用の実態に関する調査に関しては、1166名郵送し216名から返送があった。(回収率18.5%)回収に時間を要したため、現在分析中である。量的分析に加えて、自由記載からはプラシーボ使用に関する葛藤もみられるため、質的分析も行う予定である。 今後は分析結果を学会やシンポジウムを通じて、報告するとともに、プラシーボの適切な使用について検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は質問紙を看護師・医師ともに配布し、全国調査を実施した。看護師の収集は終わり、分析もほぼ終了している。医師に関しては、文具をつけることやプライバシー保持を約束し、個人に対して郵送したものの、回収は約200程度にとどまった。医師の結果回収に時間をとられたため、少し分析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は医師の調査結果の分析を実施し、看護師の調査結果と合わせて、精神科医療におけるプラシーボの使用実態、倫理的問題に関する意識等を中心に分析を実施する。医師からの調査票の自由記載には、プラシーボに関わる意見が多くみられ、多くの医師は倫理的な葛藤を抱えている様子のため、量的分析に加えて、質的分析も実施していく予定である。 そして、その結果を学会、シンポジウムを通じて、発表、報告することで多くの方の意見を聴き、プラシーボの適切な使用方法について検討していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は医師のデータ入力および分析のためにアルバイトを雇うため人件費が必要である。 また、次年度は科研が最終年度でもあり学会での発表として、日本病院・地域精神医学会、日本生命倫理学会、海外での成果報告として、International network for Psychiatric nursing research conference を予定しており、次年度への繰り越し金は旅費として使用していく予定である。 また、日本看護科学学会にてシンポジウムを予定しており、シンポジストへの謝金および旅費が必要である。
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