研究課題/領域番号 |
23593483
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研究機関 | 園田学園女子大学 |
研究代表者 |
西本 美和 園田学園女子大学, 健康科学部, 講師 (20314495)
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研究分担者 |
大西 香代子 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (00344599)
小松 明 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (80075423)
田中 美穂 東邦大学, 看護学部, 助教 (80385567)
木村 聡子 大阪信愛女学院短期大学, その他部局等, 助教 (90524918)
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キーワード | 生命倫理 / 看護倫理 / プラシーボ / 精神科看護師 / 精神科医療 / 真実告知 |
研究概要 |
2012年7月から12月にかけて全国の精神科病院の看護師1529人、医師1156人に対して、プラシーボ与薬についての実態調査を質問紙にて実施した。その結果、精神科医療におけるプラシーボ使用実態については、看護師および医師ともに、同様の傾向がみられた。今回の調査対象では「使用経験がない人」と「1年以上使用していない人」をあわせて、看護師ではおよそ3割、医師ではおよそ4割で現在プラシーボを使用していなかった。しかしながら、共同研究者の小松らが一般科で調査したプラシーボ使用経験では「過去1年間にプラシーボを使用したことがない」が479人中331人(69.1%)であり、この結果と比較すると精神科では一般的な薬物療法であると考えられる。 多くの場合は医師からの包括指示のもと、看護師が判断し、プラシーボを使用していた。精神科では不定愁訴などに効果があり、薬物依存の予防や薬物依存患者への使用などの場合に多く使用されていた。また、プラシーボに対する態度では肯定的な意見が多くみられ、その有効性を支持している様子がみられた。プラシーボ使用の背景には、現在の精神科医療の薬物の多剤大量投与の現状が背景にあると考える。実薬を過剰に投与して有害反応を引き起こすよりもプラシーボを使用したほうが患者にとってメリットが高いと多くの医療者は考えており、患者への思いやりや無危害の原則を優先していた。その反面、プラシーボ使用は倫理に反すると考えている医療者は少数にとどまっており、プラシーボのもつ誠実さや自律性の尊重に反する倫理的問題には気づけていない可能性がある。これら結果を、学会にて発表した。 また、シンポジウムで結果を公表し、プラシーボの適切な使用について検討した。本調査は医療者側から見たプラシーボ使用の実態であり、今後は当事者の意見も踏まえて、適切な使用の在り方を検討する必要があると考える。
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