研究課題/領域番号 |
23593489
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研究機関 | 広島文化学園大学 |
研究代表者 |
奥田 泰子 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (30330773)
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研究分担者 |
棚崎 由紀子 宇部フロンティア大学, 看護学部, 准教授 (50461356)
成 順月 広島文化学園大学, 看護学部, 准教授 (00555055)
讃井 真理 広島文化学園大学, 看護学部, 准教授 (20412330)
今坂 鈴江 広島文化学園大学, 看護学部, 講師 (70389089)
加藤 重子 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (40412332)
安藤 純子 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (70441558)
河野 保子 広島文化学園大学, 看護学部, その他 (80020030)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 入浴可否判断 / 安全行動モデル |
研究概要 |
1.在宅で生活する高齢者の入浴の現状を明らかにし、高齢者自らが安全な入浴行動を行えるような「在宅高齢者の入浴のための安全行動モデル」を作成することを目的に調査を実施した。研究者らが作成した調査表は、被験者背景に加え、(1)個体要因として身体的要因と心理的要因を、(2)入浴行動、(3)環境要因で構成した。調査対象者の活動性や入浴事故体験に偏りがあり、分析方法を変更して検討した結果、入浴事故体験の項目別にその頻度と入浴行動(危険行動得点)や入浴に対する思い(楽しむ得点と不安得点)に相関を認めた。入浴事故体験の頻度が多いほど入浴に対する不安得点が高く、入浴事故頻度が低いほど入浴の危険行動得点が高いことが明らかとなった。また、危険行動得点と入浴を楽しむ得点にも相関があり、危険行動得点の高い人ほど入浴を楽しむ得点が高い結果が明らかとなった。これらの結果から、活動的な高齢者は入浴事故体験が少なく、入浴の快適性を求めて、高温で長時間の入浴を好む傾向にあり、健康な高齢者にこそ、入浴事故に遭遇する前に安全で正しい入浴方法を知らせる必要があることが示唆された。 今回の調査結果からは、被験者の活動性や事故体験に偏りがあり、当初予定していた分析ができなかったため、「在宅高齢者の入浴のための安全行動モデル」の開発には至らなかった。今後さらに被験者を拡大して調査を継続し、モデルの開発をする予定である。このモデルを開発することで、高齢者自らが安全な入浴行動を行い、入浴による事故を未然に防ぐことが可能となる。2.男性高齢者の入浴による生理作用への影響を明らかにするために入浴実験を計画していたが、実験環境や被験者の選定に時間を要し、今年度は実験の実施までには至らなかった。次年度は実験を行い、入浴前バイタルサインを用いた入浴可否判断システムを作成することで高齢者自らが安全な入浴行動の判断が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究者が新たに所属した研究機関には、在宅高齢者を対象に入浴実験を行う環境が整っていなかった。入浴実験では被験者のプライバシーの確保や安全性が重要課題である。それらを踏まえ、安全な入浴実験環境を整えることに時間を費やした。また、被験者の選定にも時間要した。プライバシーにかかわる入浴実験への協力は、被験者との間に人間関係の構築がなくては成り立たない。研究者らが地域活動に参加しながら実験対象に該当される方々と関係性を構築していった。こうしてようやく実験への協力を依頼し、内諾を得ることができた。次年度は、内諾を得た高齢者に正式に協力依頼をする予定である。 高齢者の入浴の現状調査では、研究者と調査対象者の日程調整が困難であったこと、および被験者に偏りがあり、十分なデータを得ることができなかった。被験者を拡大して調査を継続する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.「在宅高齢者の入浴のための安全行動モデル」を作成するために、在宅高齢者を対象とした調査を目標数まで継続する。さらに、現在までの調査対象者は活動性が高く、入浴事故体験の少ない高齢者であり、「在宅高齢者の入浴のための安全行動モデル」を作成するためには被験者を拡大してデータを収集する必要がある。調査対象者を活動量の違いのある対象者に拡大して調査を追加する予定である。それにより、「在宅高齢者の入浴のための安全行動モデル」を開発する。2.男性高齢者の入浴による生理作用への影響については、実験環境もほぼ整い、不足する測定機器や消耗品の購入、被験者への研究依頼、共同研究者及び実験協力者との日程調整を行い、入浴実験を実施する。得られたデータをもとに、生理作用への影響を分析することはもとより、すでに研究者が得ている女性高齢者の入浴による生理作用への影響のデータを合わせて、入浴中の循環変動を予測する。その結果を用いて、「入浴前バイタルサインを用いた入浴可否判断システム」を開発する。開発したシステムを臨床で活用することで、システムの利用可能性を検証する。以上の結果をパンフレットにして、地域在住の高齢者や高齢者の看護・介護に携わる職員に普及するために配布する予定である。、
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次年度の研究費の使用計画 |
1.「在宅高齢者の入浴のための安全行動モデル」開発に向けて、調査対象者を拡大したことで協力者への謝金が発生する。また、調査場所までの交通費や調査協力者への人件費が必要である。調査用紙や筆記用具など文具代も追加となる。2.男性高齢者の入浴による生理作用への影響を明らかにするために行う入浴実験では、血管の硬化度を測定する機器を購入する必要がある。それに付随する消耗品を購入する予定である。入浴実験に伴い、被験者用の水着、タオル、バスタオル、タオルケットその他入浴に伴う消耗品も購入する。実験の被験者は約30名予定し、1回の実験に対する謝金として5000円を予定している。実験に際し、測定機器の操作など実験協力者への謝金が発生する。3.得られた結果は、調査研究、実験研究とも関連する学会で、共同研究者とともに発表を行う。それに伴う旅費・宿泊費が必要である。また、論文として投稿予定であり、査読料や投稿料も予定に入れている。
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