研究課題/領域番号 |
23593490
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研究機関 | 西南女学院大学 |
研究代表者 |
吉原 悦子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 助教 (60309995)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 老年看護学 / 認知症ケア / 排便ケア |
研究概要 |
初年度の研究計画は、基礎的データの収集である。まず、介入施設の選定を行い、現在は2施設を対象とし、研究を開始している。職員全員に対して、職種や経験年数・現在の排便ケアの実際・排便ケアへの意識(思い)・排便ケアについての学習経験の有無・排便ケアに必要な具体的項目に対しての知識の有無などについて質問紙調査を行った。その結果、水分・食事に関するアセスメント・ケア内容に関して約9割以上がほぼ毎日実践していた。また、腸蠕動を促す援助に関してアセスメント・ケア内容は、時々実践が半数以上を占めており、実践意欲が感じられた。また、排便動作の自立は把握しているが、把握した内容を生かしたケアを時々でも実践しているものは6割程度であるという結果が得られた。さらに、職員の排便ケアに関しての学習ニーズは非常に高く、その内容は、食事の姿勢や口腔ケアなど生活援助の内容から腹部マッサージや便秘時の対策など排便を促す援助、さらには、排便に影響を及ぼす疾患や異常の早期発見などリスク管理にまで及んでいた。 これらの状況から、職員の学習ニーズの高いことやその後の入居者の排便状況の調査に有効であると考え、本来は次年度に行う予定であった学習会を本年度に行った。学習会の中で再度、排便状況の調査について説明を行い、共通認識を図った上で、入居者全員を対象に現在の排便状況を把握するための調査を行った。その結果を踏まえ、職員、研究者との協議により、介入研究に向けた対象の選定を行った。各グループホームに1名を選定し、本人および家族に研究説明を行い、同意を得、介入を開始した。選定した対象に対して職員とともに、介入対象者の排便状況をアセスメントし、ケアプランを立案し、約1~2週間毎に職員、研究者によるカンファレンスを開催し、対象者の排便状況や対象者の様子などを把握し、ケアプランの検討、修正などを現在行っている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、2施設に対し、全職員への質問紙調査、それを踏まえた研修会の開催、全入居者への排便状況の確認、介入対象の選定、各施設1名の介入については当初の予定以上に進展している状況である。 しかし、あと1施設の介入対象施設の選定が遅れている状況である。継続して、施設選定へむけて、研究依頼ををおこなっていく。また、現在介入の施設はそれぞれ複数ユニットを有しているため、現在介入していないユニットへの研究依頼も視野に入れ、検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、介入中の対象者へのケア検討は引き続き行っていく。6カ月という期間と排便状況の安定を目安に更にもう1名の介入対象者の選定を行っていく。また、施設の職員から「自分の施設のことしかわからない。」という声が聞かれ、他施設との交流も少ないことが分かった。そのため職員が主体となってアイディアを出し合い、いかに入居者の排便を促すケアにつなげていくかや視野を広げるといった視点で考え、排便ケアに対し熱心に取り組んでいる施設との交流も含め、研修を考えていく。 また、職員の学習ニーズは非常に高いため、引き続き、学習会を検討し、実践していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度研究費の繰り越しが生じた理由として、1.介入施設が2施設で、残り1施設が交渉中であるため物品の購入を次年度の繰り越しとする。2.人件費・謝金について、介入施設が現在2施設であるためデータの入力などの人件費が未使用である。データがそろう次年度に使用する予定である。以上のことなどにより、平成23年度研究費が平成24年度に繰り越しとなっている。 次年度の研究費の使用計画として、1.職員との学習会に向けての物品、また、データ整理にむけた物品の購入を早急に行っていく。2.ケア計画を立案し、介入を行っていきながら、排便ケアに必要な物品の購入を計画している。3.データ整理のための人件費、謝金については計画通り使用していく。4.旅費については、学会への参加、他施設への見学や交流を行い使用していく。
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