研究課題/領域番号 |
23600006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永谷 清信 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30273436)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 自由電子レーザー / クラスター |
研究概要 |
23年度は、既存の希ガスクラスター装置を利用して、SCSS試験加速器を用いて電子分光やポンプ-プローブ計測の為の実験技術開発を行うと共に、金属クラスター作製装置の設計を進めた。SCSS試験加速器では、既存の希ガスクラスター装置を用いて、典型的な絶縁体である希ガスクラスターを試料として極紫外自由電子レーザーの照射効果の研究を進めた。典型的な絶縁体である希ガスクラスターでの結果は、本研究の目標である金属クラスターの結果を理解する上で良い参照系となる。実験技術開発として、電子スペクトル計測の際のバックグランド信号低減の為の改良を進め、強力なFELパルス照射下においても信頼性の高い電子スペクトルが得られる事を確認した。特に、巨大なキセノンクラスターの電子スペクトルについてFEL強度に依存性を詳細に調べ、FEL照射後のキセノンクラスターでの多段階の多光子吸収に伴う特徴的な電子スペクトルを確認すると共に、これまでに報告されていない、FEL照射に伴うクラスターからの光電子放出の異方性を示す結果を得た。さらに、イオン化ダイナミクスについて実時間計測を行うため、FELと赤外レーザーの波長の異なる二色のレーザーを用いたポンプ-プローブ実験の為の技術開発を進めた。キセノンクラスターを試料としてポンプ-プローブ実験により実時間計測を行い、FEL照射後数ピコ秒から数十ピコにわたる早い時間スケールでのクラスター解離ダイナミクスの情報を得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試験加速器を用いた予備実験にでは、FEL利用技術の開発を進めると同時に、標準試料となる希ガスクラスターについてFEL照射効果に関する理解が進んだ。一方、クラスター源の開発については、製作にはいることが出来ておらず。現時点で、研究目的の達成に向けてやや遅滞が見られる。
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今後の研究の推進方策 |
クラスター源については、今年度の設計を基にして製作を進める。FEL利用技術について、ポンプープローブ計測などの要素技術の開発を既存のクラスター源により進める。新規装置の試験を京都大学で進め、完成と同時にFEL実機による実験に供する。
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次年度の研究費の使用計画 |
レーザー蒸発クラスター源のために、金属加工や光学素子を購入して、装置組み立てを進める。さらに、SCSS試験加速器などを用いた予備的実験によりFEL利用技術の高度化を図ってゆく。実験のために出張旅費を計上する。
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