当初予定の事業期間である3年間が順調に進んだため、予算を繰り越して1年間の期間延長を行い、引き続き以下の課題について研究を行った。 システムの総仕上げとして、ガスリークを防ぐためマウントツールの見直しやビームラインでの測定条件の最適化を行った。さらに、汎用性を高めるため、従来大型放射光施設SPring-8のサンプルチェンジャーシステムSPACEの一部として設置されていたシステムを、一般的なゴニオメータに装着される一般的な磁石アタッチメントにも設置できるよう、新たな治具を製作した。 発展的な内容としては以下の三課題に取り組んだ。 (2)ガラス細管のデザイン:キャピラリ製造については新たな製造業者に依頼することが可能になった。その業者と共同で、ガラスキャピラリの安全性および耐圧性能の向上をめざした樹脂コーティングを試みた。固化させる前の樹脂の粘度が高いため、厚みのムラが生じやすい難点はあるが、作製は可能で期待した効果がみられた。この難点に関しても樹脂の成分を調整することで良好な結果が得られつつある。 (4)ガス加圧法の実証実験と改良:キセノン誘導体結晶の作成については、上述のシステム最適化により、リゾチーム正方晶での位相決定に成功した。他のガス吸着蛋白質での初期的な実験でも手法として利用できることが分かったが、適用する試料の安定的な調達が困難となり、再開に向けて準備を進めている段階である。 (7)低温で晶析した試料の操作・保持:最終年度に導入した低温インキュベータに観察用のCCDカメラを組み合わせたシステムを構築できた。引き続き結晶化と凍結操作の簡便化を検討している。
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