放射光マイクロビームは蛋白質結晶学にも新展開を導き、10 um程度の微結晶で原子分解能の構造解析を可能にした。しかし研究開始当時の2011年にも微結晶の操作は難しかった。課題解決のため、細胞へのマイクロインジェクションを参考に新結晶マウント法を開発した。 ガラスの硬さを生かして作成した先端径15 umのテーパー形状のキャピラリは結晶を保持しつつ、凍結も可能にした。細さゆえ溶媒が減らせ、散乱X線を減らす効果が得られた。耐圧性を利用したガス加圧では、ねじ式ピンにキャピラリを取付け、加圧装置に直接つないだ。簡単な操作で卵白リゾチーム結晶のキセノン誘導体を作成でき、異常分散効果による位相決定も実現した。
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