研究課題/領域番号 |
23600017
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研究機関 | (財)高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
室 隆桂之 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 主幹研究員 (50416385)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 角度分解光電子分光 / ARPES |
研究概要 |
微小試料の角度分解光電子分光法(ARPES)を実現するため、試料冷凍機の除振器の検討を行った。既存のHe循環式冷凍機では、駆動時に試料位置で水平方向に約30μm、鉛直方向に約10μmの振動が発生する。本研究では、将来のARPESの試料サイズの目標を10μmと設定しているが現状の振動はそれ以上に大きいため、冷凍機の振動を軽減する必要がある。この方法として、当初は循環式冷凍機のモーター部に磁気バネ式除振器を取り付け、モーター部から試料に伝達する振動を軽減することを想定していた。しかし、検討の結果、磁気バネ式では冷凍機内部のディスプレーサーの駆動により試料に伝わる振動を取り除くことが難しいと判断し、Heガスダンパー方式の除振器を採用することとした。この方式では、冷凍機と試料との間の熱伝達部にHeガス冷媒部を設け、冷凍機の振動が試料に伝わるのを防ぐ。H23年度ではHeガスダンパーの仕様の検討、設計を行った。除振器はH24年7月に納品予定である。冷却時の試料部での振動は±1μm以下を目標としている。我々の装置では、冷却した状態の試料を測定位置から劈開を行うための真空槽へ約40cm移動させる必要がある。H24年度では測定位置での冷却温度と振動の評価、および劈開位置への移動後の冷却温度の評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では、H23年度では冷凍機除震器の検討、発注を行い、H24年度で冷却等のテストを行う予定であった。冷凍機はH24年7月に納品予定であり7月以降に冷却テストが実施できるため、ほぼ計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度では冷凍機の除振方法を、当初想定していた磁気バネ式からHeガスダンパー式に変更した。これに伴って23年度では新方式の検討及び設計に時間を要したため、23年度中に執行を予定していた除振器の費用が未使用となった。しかし、除振器は23年度末時点で入札手続き中であり、24年7月に納品予定である。平成24年度では、このHeガスダンパー方式による除振器を用い、除振効果の確認を行う。また、試料冷却が可能な、角度調整機構付き試料台を開発する。試料台は、大気中で試料をマウントし、真空槽内の冷凍機ホルダーに搬送するための台である。試作済みの試料台を冷却対応に改造する。銅編線等を加え、熱接触をとることを試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度ではHeガスダンパー方式による冷凍機除振器を購入する(23年度末時点で入札手続き中)。また、角度調整機構付き試料台の開発に使用する。
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