研究課題/領域番号 |
23601001
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
佐藤 慎也 山形大学, 教育文化学部, 教授 (20260424)
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キーワード | 冒険遊び場 / 子育て支援 / ネットワーク / プレーパーク |
研究概要 |
本年度は、冒険遊び場について東北、関東、中国、九州における地域ネットワークとしての取組み状況を把握するとともに、子育て支援組織との恊働のあり方、行政、大学との連携による支援体制の強化への取組みなどを把握した。 東北では冒険遊び場せんだい・みやぎネットワークが絆再生や新しい公共、新しい東北など復興庁からの支援を受けながら、仮設住宅地、地域の公会堂での子育て支援に関わる取組みを実施している。西公園プレーパークでは、近接する仙台メディアテークでちびパークという乳幼児を対象とした広場を開催しており、この開催に向けて「ご近所さん会議」という形で子育て支援に関わる団体が連携する仕組みが生まれてきている。 岡山では、岡山県と県内の大学とが子育て支援に関して連携する仕組みが築かれている中で冒険遊び場も加わり、その子育て支援の幅を外遊びにまで広げていく試みがなされている。備前プレーパークでは、通常のプレーパーク活動とともに森のオヤトコひろばを開催し、乳幼児の外遊びを促す試みを重ねてきている。 もう一方で横浜のケースでは異年齢を広く受け入れている冒険遊び場の仕組みと放課後キッズクラブ事業、はまっ子ふれあいスクール事業 、放課後児童健全育成事業などが地域内に混在し、どのような形で整合性を図っていくか大きな課題となっている。さらに九州のケースでは冒険遊び場の危険性との向かい合い方に対する保護者への理解の浸透をどう図っていくかという点が課題となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は東日本大震災が発生した平成23年度にスタートを切った。被災した仙台市の海岸公園冒険広場も存在し、その対応記録にも特筆すべき点があるが、東日本大震災後に新たに開設した冒険遊び場は東北地方だけでも30箇所に及び、全国でもその広がりが生まれている。もう一方では原子力発電所の事故により外遊びを中心とする冒険遊び場の活動に関して運営者側が放射線量の測定、周知等の今までにない対応を迫られる部分も増加している。また子育て支援に関する法律の変化も加わっており、当初計画したよりも調査の領域の範囲が広がっている点が研究成果に繋がる点であるが、調査における遅れに繋がっている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度として外遊びと子育て支援策との関係を明らかにしながら、冒険遊び場におけるネットワーク化の取組みについてとりまとめを行う。特に地域行政、子育て支援団体、大学等との連携について研修制度、実施体制に着目する。
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次年度の研究費の使用計画 |
東日本大震災後、子どもたちの外遊びに関して研究当初想定した以上に新たなニーズが課題が発生した。特に津波災害による被災、被災地への遊び場のネットワークを活かした支援等の調査に関して荒浜海岸公園冒険広場が直接被災し、新たな冒険遊び場のシステム構築の対応に時間を要した。そのため平成24年度を中心に当初予定していた調査旅費、アルバイト謝金等の支出が少なくなった。 震災後、新たに活動を始めた100箇所あまりの冒険遊び場のネットワーク状況について東日本大震災被災地以外での事例調査旅費として使用する。また子育て支援組織による新たな乳幼児向けの外遊び活動との連携状況について事例調査のための旅費及び謝金として使用する。以上を含めて冒険遊び場における子ども環境のネットワーク化についての研究報告の総括の際のアルバイト謝金、会議費、論文発表等に使用する。
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