研究課題/領域番号 |
23601008
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
大谷 直史 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (50346334)
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研究分担者 |
奥野 隆一 鳥取大学, 地域学部, 教授 (10437519)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 学童保育 / 親密圏 |
研究概要 |
1.学童保育の質に関する調査先進的な事例として、鳥取県(2か所)・大阪府(4か所)・京都府(2か所)・東京都(2か所)・神奈川県(4か所)の聞き取り及び参与観察を行った。同時に、子どもを対象とした居場所づくりに取り組むNPO等の調査を行い、子どもにとっての親密圏を構成する条件について、調査に参加した「地域づくりと学童空間研究会」のメンバーとともに検討した。その結果、学童における独自のルールの存在(とりわけ学校とは異なるルール)や、子どもの空間の利用方法(寝転ぶ等)、指導員と子どもの間の呼称などに、親密圏としての性格が表れていることが仮説として提起されている。2.全国指導員調査2011年3月に予備調査を実施(鳥取県・大阪府の指導員600名)した(現在集計中)。また保育者の調査としては蓄積のある保育士に対する予備調査を2回実施した(ともに大阪府・愛知県の保育士)。そこでは保育士として大切にしていることの考え方が、保育所の条件整備に対する意見に一定程度影響していることが明らかとなり、指導員の調査においても援用できる。一方で、質問紙調査においては、現状のあり方を前提とした回答に収れんする傾向があること、都道府県間の格差が大きく影響し、調査設計に工夫が必要なことなどが課題として明らかとなった。これらを保育士の研究会において発表し、討議した。3.自治体間格差の規定要因分析全国的な研究会や全国学童保育連絡協議会への聞き取りからは、自治体間格差の大きさとともに、偶然的要素(たとえば政治的な)に左右される事が多く、格差規定要因を明らかにすることが少なくとも経験的には難しいことが分かった。一方で関連領域(高齢者福祉)において同様の研究が行われており、これを参考に研究を進めることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.学童保育の質に関する調査:おおむね予定していた調査を実施する事が出来た。学童保育において顕在化・潜在化しているルールを明らかにすること、とりわけそこで子どもが何をしてもよいのか、指導員のことを何と呼ぶのか等を明らかにすることで、親密圏としての性格を浮き彫りにすることの見通しを得ることができた。2.全国指導員調査:利用者に対する予備調査は実施できなかったものの、保育士に対する調査からは、かかわりの質を規定する質問項目を検討することができた。関係する諸機関とも連携し、親密圏のあるべき姿について討議する土壌を作りだすことができた。3.自治体間格差の規定要因分析:仮説設定はできていないものの、手法については見通しがたち、一定のデータも入手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.学童保育の質に関する調査:典型的な事例については適宜調査を行うこととし、これまでの調査についてのまとめを行う。焦点を当てた観察を親密圏としての性格を有する学童保育を対象に実施する。2.全国指導員調査:9~10月にかけて、全国の指導員を対象に質問紙調査を実施する。調査においては、学童をめぐる情勢の変化もふまえ、親密圏の構築を踏まえた指導員の専門性についての項目を追加する。利用者調査については、自治体間格差を踏まえて、調査対象を限定的に実施する。3.自治体間格差の規定要因分析:関連領域の研究資料を収集し、学童保育の分析に利用可能な項目を析出する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.学童保育の質に関する調査:適宜実施される典型事例の聞き取り調査のための旅費および、焦点をあてた観察にかかわる旅費。2.全国指導員調査:全国的質問紙調査の郵送費および、データ入力等に係る経費。また質問項目等の打ち合わせにかかわる経費。3.自治体間格差の規定要因分析:関連資料の収集および、分析にかかわるソフト等の経費。
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