本研究は、日本の就学前教育への問題提起も念頭に置きつつ、ドイツがPISA 2000後に「就学前児童のためのことばの発達支援」に関して何をしようとしてきたのか、を跡付けることを課題とした。手掛かりとしたのは、連邦政府、移民難民庁、統計庁の公表資料、常設連邦州文部大臣会議(KMK)の決議や議事録、また具体例としてバイエルン州の州法、州教育計画、州家庭省の「子どもの教育と保育」サイトなどである。「ことばの発達支援は機会平等の重要な土台をなす」を基本理念として、ドイツは「移民背景を持つ子どもたち」だけでなく、すべての子どもたちに質のよい幼少期教育、特にことばの教育を保障しようとしている。
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