研究課題/領域番号 |
23601017
|
研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
齊藤 雅也 札幌市立大学, デザイン学部, 准教授 (20342446)
|
研究分担者 |
辻原 万規彦 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (40326492)
羽山 広文 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80301935)
宿谷 昌則 東京都市大学, 環境情報学部, 教授 (20179021)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 想像温度 / 温熱環境 / 地域性 / 温熱的不快 / 札幌 / 熊本 / 集中度 / ライフスタイル |
研究概要 |
札幌・熊本の夏、冬の小学校教室の温熱環境を対象に、児童にとって温熱的不快でない条件が地域性やライフスタイルによって異なるか否かを明らかにする実測調査を行なった。外気温、実際室温および児童の「想像温度」と温熱的不快の発生率の関係について以下のことが確認できた。1)夏、外気温と実際室温が同じとき、熊本は札幌よりも温熱的不快の申告率は低かった。冬、札幌の室温は熊本よりも8℃ほど高いにも関わらず、札幌と熊本とで温熱的不快の申告率は同じだった。2)夏、熊本の児童は発汗感と通風感があれば温熱的不快にはならない傾向にあった。3)夏、札幌、熊本ともに1日の歩数が多い児童ほど発汗感は増すが、温熱的不快の申告率は札幌の方が熊本より高い傾向にあった。4)夏、冬に関係なく、札幌、熊本ともに温熱的不快を申告した児童は不快でなかった児童よりも想像温度が高く、両者の差は2℃ほどだった。5)夏の温熱的不快の想像温度は札幌よりも熊本の方が高かった。 また、夏について児童の授業への「集中度」、「百マス計算」、「楽しかった時限数」と想像温度について以下の関係性が確認できた。6)「暑くて不快」と感じることがあっても、児童は授業に集中できる可能性が示唆された。7)授業に集中できるか否かが現れる温度幅は札幌、熊本ともに3~4℃で、札幌と熊本の地域差として5~6℃の差があることがわかった。これは児童の想像温度の地域差と一致した。8)札幌では「集中度」と想像温度に相関があり、熊本では、「百マス計算」の得点比と想像温度に相関がみられた。9)熊本では、「楽しかった時限数」は「授業への集中度合い」と「温熱的不快でない」に相関があった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
札幌、熊本での小学校における調査を順調に進められたので評価区分は(2)とした。
|
今後の研究の推進方策 |
寒冷地の札幌と温暖地の熊本に加えて、普通教室に冷房が導入されている東京都も調査対象地に加えて、児童の温熱感、想像温度の地域差や、ライフスタイルに基づく個人差を明らかにする。また平成23年度に引き続き、温熱的不快の発生率を、外気温や室温、想像温度を説明変数とするロジスティック回帰分析によって予測する。以上の結果に総合して、持続可能な教室の温熱環境とは何かを明らかにする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、以下のことを行なう予定である。1)東京都下の小学校を調査対象に加える。2)温熱的不快の発生率を、外気温や室温、想像温度を説明変数とするロジスティック回帰分析によって予測する。 なお、平成23年度から平成24年度へ繰り越す補助金が発生した理由は、東京における小学校の調査が平成23年度中に実施できなかったことによる(東日本大震災と原子力発電所の事故に起因する首都圏の節電対応があったため、当該年度の調査は通常状態ではなかったと判断したことによる)ものである。
|