研究課題/領域番号 |
23601018
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
三宅 孝昭 大阪府立大学, 地域連携研究機構, 准教授 (80244672)
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研究分担者 |
清水 教永 大阪府立大学, 地域連携研究機構, 教授 (30079123)
松浦 義昌 大阪府立大学, 地域連携研究機構, 准教授 (60173796)
坪内 伸司 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (10188617)
田中 良晴 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (60236651)
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キーワード | s-IgA / 幼児 / 生活習慣 |
研究概要 |
今年度は、昨年度に実施した測定結果の分析検討を行うことと、研究協力園に対して新5歳児への協力依頼を行い、昨年度同様の生活習慣介入研究を実施した。 まず、昨年度に実施した測定結果のデータ分析を行ったが、就労しながら子育てをする保護者にとって生活習慣の改善が容易ではなく、実際には改善があまりみられなかった。しかしながら、一昨年度の測定結果報告により生活習慣の重要性が理解され、5歳児では既に良好な生活リズムであった園児も存在したため、改めて一昨年度の結果も含めたデータの見直しを行った。その結果、1名の園児に、4歳児から5歳児になり、良好な生活習慣への改善が認められた。改善前後を比較して、平均起床時刻は少し遅くなっていたが、平均就寝時刻は21時30分から21時07分に早くなっており、平均睡眠時間は40分増加していた。起床は全て自然覚醒で、1日の身体活動量(歩数)に差はなかった。また1日の平均s-IgA/prot.も改善前3.5%、改善後11.0%となり、有意な差が認められた。なお、体温変動については差がみられなかった。 今年度は、昨年同様に教育的配慮から5歳児全員に協力依頼し、承諾の得られた11名を対象に介入研究を3月に実施した。方法は昨年度同様、生活習慣改善の介入前後の2日間にs-IgA及び体温、身体活動量測定、起床・就寝時刻を記録した。介入期間は6日間で保護者には早寝早起きの励行を依頼した。その結果、生活習慣の改善がみられた幼児は2名おり、就寝時刻が改善前21時48分、改善後20時50分で早くなっていた。睡眠時間も9時間15分から9時間53分に増加していた。体温及び身体活動量には変化がみられなかった。s-IgAについては、3月に測定を行ったため、今後に分析予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
対象児を増やすために、新たな保育施設に研究協力を依頼し、研究を行うことも検討したが、一昨年度、昨年度の経験から、介入研究の実施にあたっては、対象児の保護者に対する対応も含め、信頼関係が築かれた保育施設の協力が絶対不可欠であることを実感した。その点を鑑み、今年度は、これまでに信頼関係があり、昨年度も実施した保育園1施設に絞り、介入研究を行った。 協力が得られた保育園では、対象とする5歳児の中で約8割の協力が得られたが、実際に改善できたと認められる幼児は約2割程度であった。保護者には研究の趣旨を説明し、早寝早起きの生活習慣の重要性についても文書と口頭で説明し、研究協力の承諾を得るが、介入研究後のデータをみると、顕著な生活習慣の改善がみられない結果であった。実際には、保護者が就労しながら子育てをしている生活状況の中で、生活に介入して生活習慣を改善することが容易ではなく、生活記録から生活習慣を改善しようとしている努力はみられるが、顕著な改善にまで至っていない状況であった。 以上の理由により、本研究への承諾が得られても、実際には顕著な生活習慣の改善に至っておらず、その結果、分析対象となる幼児が少なくなり、研究成果が得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まず3月に実施した介入研究のs-IgAの分析を行い、その結果に生活記録、体温測定データをあわせて分析、検討する予定である。また、昨年度、一昨年度のデータを改めて見直し、検討を行う予定である。 一方、対象児を増やすため、今後も新たな学年の保護者に研究協力依頼を行い、対象児を増やして分析したいと考えている。測定の時期についても、保育施設と相談した上で検討を行い、早めの分析を心がける。また、保育施設との協議した上で、可能であれば、4歳児の測定も視野に入れて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究が、幼児の生活習慣の改善を保護者に依頼するという、生活に介入する研究であることから、研究協力を得ることができても、現実的に就労しながら子育てをしている保護者にとって、生活習慣の改善が容易ではなく、その結果、分析の対象となる幼児が少なくなった。本研究を遂行するためには、分析の対象となる幼児を増やす必要があるが、本研究においては信頼関係にある保育施設の協力が必要不可欠であることから、新たな保育施設に協力を得るよりも、同じ施設で次年度の新たな学年の幼児を対象として、研究を継続することが必要であると考えられる。 あわせて今年度3月に実施した測定のs-IgA分析や測定結果の検討を今後行うことと、次年度の研究継続にも分析用具や試薬などの購入、旅費などが必要となるため。 分析対象となる幼児を増やすため、新学年の園児に対し、今年度同様の研究を継続して実施する。 研究継続のための具体的な経費使途内容は、唾液採取用具、s-IgA分析用試薬、消耗品、研究協力園への旅費、謝金、論文投稿費などである。
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