青年期の抑うつの実態と睡眠や食事を主とした生活リズムの乱れとの関連を明らかにすることを目的として,複数大学の学生を対象に抑うつと生活習慣に関する調査を実施した。2011年~2012年の11月~12月に,北海道及東北の大学生を対象として,実施した生活習慣と精神的健康に関する質問紙調査の解析を行った。対象者の内訳は,男子676名,女子754名で,平均年齢は20.2±2.5(SD)歳であった。対象者全体としては,寝不足感を有する者が7割を超える結果であった。寝不足感を有する者の割合に男女差はなく,睡眠に関する評価項目ではいずれも男女差は認められなかった。食習慣についても,有意な男女差は認められなかった。しかし,食習慣調査項目の内訳では男女差が認められ,運動習慣を除き,男子に比較して,女子で良好な状態であった。精神的健康度では,女子に比較して男子の得点が有意に低く,男子のほうが良好な状態であった。本研究の結果から,男子に比べて女子では精神的健康度が低い状態にあり,睡眠時間も短いという男女の特徴が浮かび上がった。その一方で,男女ともに寝不足感を有する者の割合が高く,一定割合の者は性差なく睡眠に関する問題を抱えていることが明らかとなった。調査と並行して,食生活改善を目的に,食事メニュー提供による食事指導を実施した。主要栄養素である,たんぱく質,脂質,炭水化物については,開始前と終了後で有意な変化はなかった。しかし,栄養のバランスでは,副菜,牛乳,果物の摂取が増加し,菓子類が減少する傾向が認められた。また,栄養素では,カルシウム,カロテン及びビタミンCの摂取が増加し,緑黄色野菜の比率も増加していた。これらの変化は,食事指導による介入研究の結果,副菜の摂取が増加したためと考えられ,本研究の一定の成果と考えられた。食事指導に用いたメニューについては冊子を作成し,今後配布予定である。
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