研究課題/領域番号 |
23601022
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
錦谷 まりこ 福岡女子大学, 文理学部, 准教授 (40327333)
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研究分担者 |
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
中尾 睦宏 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80282614)
鶴ヶ野 しのぶ 帝京大学, 医学部, 研究員 (10359630)
井上 まり子 帝京大学, 公私立大学の部局等, 助教 (20508048)
可知 悠子 日本医科大学, 医学部, 助教 (10579337)
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キーワード | 格差と健康 / 非正規雇用 / 家族 / 次世代連鎖 / 社会関係資本 |
研究概要 |
近年の国民の健康状態について、厚生労働省が調査している統計「国民生活基礎調査」の2007年と2004年のデータを用いて、雇用者およびその家族の健康に関して分析した。その結果、通院率や有訴率、健康感不良率など、対象となる雇用者を正規と非正規で分けて、その配偶者もしくは子の健康状態を比較したところ、配偶者よりも子供の方が非正規雇用の家族(この場合、親)を持つことにより健康指標が悪く、特に、一人親であるとオッズ比も高くなった。この内容を日本産業衛生学会で報告し、現在、科学雑誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
家族の要となりうる成人女性(多くの場合、妻・親の立場をとる)を対象に世帯を中心にしたコミュニティと健康の関係について調査する予定であったが、事前の検討としての解析により、結果が一様ではなく、そのため、分担研究者と分析方法と研究デザインに関する検討を重ねたため時間がかかった。当初の予定では、国民生活基礎調査の他、児童家庭調査など国の各種統計の目的外使用申請の手続きを24年度中に完了する予定であったが、複数統計を申請する目的上、書類作成に時間を要し、現在、まだ申請中である(入手はまだである)。 しかし、以前、雇用形態と成人女性の健康に関して行った小規模調査の研究検討結果を社会医学系の国際誌に報告したほか、共同研究者を筆頭にした関連研究の国際誌への報告を行ったので、これを応用して今後の研究を進める指針ができたと前向きに考える。
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今後の研究の推進方策 |
24年度に実施した研究内容の報告手続きを完了させる。また、24年度より行っている国の基幹統計および一般統計の目的外使用申請の手続きを完了させ分析を施す。 具体的には、雇用形態と経済指標と健康の関係を精査し、世帯を共同体とみなした相互の健康問題緩和(もしくは健康促進)要素を明らかにしていく。特に、発展型として、市町村レベルの社会関係資本データを収集することを予定している。収集対象は「雇用対策」「教育」「環境」等のデータを想定している。 さらに、研究予算に余裕があれば、家族の健康に関して、同窓会組織等への協力を要請して調査協力者の住所情報を得、家族形態と就業形態、健康等の質問紙調査を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究デザインと解析手段について引き続き、分担研究者および研究協力者と打ち合わせを行う。分担研究者は遠隔にいるため、打ち合わせ用の出張旅費と通信費がかかる予定である。 また、国の基幹・一般統計を処理するほかに、地域共同体のデータを収集する際は「インターネットによる検索」「自治体へのメール、郵便、電話などでの問い合わせ」などを計画しており、そのための研究補助アルバイトが必要で、24年度から継続して雇用する予定である。質問紙調査を実施する場合はさらに数人雇用することが考えらる。この場合は、通信費や郵送料等に費用が掛かる見込みである。 得られたデータで解析後、関連学会へ報告するため、学会参加費および遠隔である場合は出張旅費なども支出予定である。さらに論文化する際には国際誌へ投稿する予定であるため、英文校正、投稿費用、なども支出する。
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