研究課題
本研究は、ザンビア国ルサカ市を調査地域とし、ザンビア国保健省、ルサカ市保健活動を実施しているAMDA(本邦NGO)と連携し、最適配置に基づいた保健サービスの提供により、乳幼児(5歳未満児)の罹患率と死亡率の減少を目指す。コミュニティ保健活動の最適配置による効果は、コントロール地域(ンクワジヘルスセンター、任意の地点での保健サービス介入)と介入地域(チプルクスヘルスセンター、最適地点での保健サービス介入)における介入前後のサーベイランス調査より、養育者の行動様式の変化、乳幼児の疾病ならびに死亡率の変化に監視、統計的有意差により検定する。調査は、生後6ヶ月から11ヶ月までの5ヶ月間の乳児のコホート調査と12ヶ月児から23ヶ月児の乳幼児を持つ養育者に対するKAP調査を行った。コホート調査は、ベースライン調査の対象は2011年1月から5月に出生した新生児、介入後調査は2012年1月から5月に出生した新生児に対して調査を実施した。KAP調査は、2011年3月と213年3月にそれぞれベースライン調査と介入後調査を実施した。調査結果より、介入地域の予防接種率は61.8%から74.2%へ統計的有意に改善し、1歳児までに月例体重モニタリングに10回以上参加する幼児も有意に増加した。一方、コントロール地域においても、統計的に有意ではないが、予防接種率の改善が示された。6ヵ月児と12カ月児の低体重児割合(Z値-2SD)は、介入地域において減少したのに対し、コントロール地域の低体重児割合の変化は見られなかった。最適配置のコミュニティ活動は、養育者の保健サービスへのアクセスを高め、予防接種率と低体重児の割合の改善に寄与することが推察された。乳幼児に必要なケアを統合して提供するアウトリーチは近年注目され、乳幼児の健康改善の効果的なツールと考えられる。
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