研究課題/領域番号 |
23601027
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
杉浦 勉 産業医科大学, 産業医学研究支援施設, 准教授 (40131924)
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研究分担者 |
吉田 安宏 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10309958)
黒田 悦史 産業医科大学, 医学部, 講師 (10299604)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 骨髄細胞 / 胎児期暴露 / 樹状細胞 / Treg |
研究概要 |
近年、環境や生活スタイルの変化に伴い、母体が妊娠中に曝露される化学物質は増加の一途である。胎盤は化学物質の侵入を阻止できないため、侵入してきた化学物質に胎児は曝されることになる。そこで化学物質胎児期曝露の影響を骨髄由来樹状細胞の分化への影響およびTregの誘導の観点から評価する。本年度は本格的な動物暴露実験を年度末からしか行えなかったため、そのセットアップを行い、暴露実験が行えるようになった。暴露する化学物質としては、トルエンとホルムアルデヒドを選択した。これは、いまだ環境汚染物質として知られているものの、その詳細な健康影響へのメカニズムについては議論がつきない物質である。暴露濃度に関しては、日本では許容濃度が50 ppmおよび80 ppbとそれぞれ設定されているので、その濃度を用いることにした。実験動物には雄性のC3H/HeNマウスあるいはBALB/cマウスを用いた。暴露期間は亜慢性である2週間、3週間と6週間でおこなった。化学物質(トルエン)の影響を調べるために、リンパ組織である脾臓における細胞分布についてフローサイトメトリーにより解析した。まず、脾臓重量を調べたが、トルエンによる影響は認められなかった。6週間暴露(50 ppm、5 ppm)を行なったマウスでは、CD19細胞の割合が若干増加していた。またTregの細胞表面マーカーであるCD4、CD25については減少の傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の示達時期にくらべ、遅い示達であったため、予定していた暴露室の予約が予定通りにいかず、動物実験が完全に終了できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はin vitroで樹状細胞による抑制性T細胞 (Treg) の誘導を中心に反応差異のメカニズムの解析を中心に行う。樹状細胞はTregの誘導に関与すること、Tregの誘導にはSTAT5の活性化が重要な因子であることが知られている。そこで胎児期曝露マウスから樹状細胞を誘導し、その樹状細胞によるTreg誘導能を解析する。また、細胞内イベントを分子生物学的手法により解析し、化学物質の作用点を細胞内レベルで集積する。これらの解析手法は現在までに申請者らが常時行い、報告してきた方法を用いるため、トラブルシューティングにも即座に対応できる。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度はEMSA用試薬や、樹状細胞およびTreg細胞の抗原特異的シグナル伝達の解析に使用する試薬類、実験動物(マウス)の購入を中心に使用を計画している。また情報収集を兼ねた、成果発表のための旅費を申請する予定である。
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