研究課題/領域番号 |
23602001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久保 直樹 北海道大学, アイソトープ総合センター, 准教授 (80241389)
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研究分担者 |
志賀 哲 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80374495)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | PET / 繰り返し精度 |
研究概要 |
PET(ポジトロン放出断層撮影)が生理的情報の定量つまり絶対値として測定できるという長所の恩恵をすべてのPET施設が享受できるように動脈採血を行わなくても動脈血中放射能濃度が測定できる撮像・処理方法の確立を目的としている.これを達成するために,まず放射性薬剤分布の繰り返し精度を調べる必要があった.なぜならばPETは被曝が過剰にならないように,被検者に投与される放射能は低く抑えられている.このため測定される放射線の計測イベントは少なく統計雑音(変動)を含んでいる.この影響により放射性薬剤分布画像が若干変化するからである.今回,放射性薬剤3次元分布の繰り返し精度を評価するファントム実験を行った.ファントムは4種類で,いずれも内径26.8 mmの球形とした.球形そのままで均一であるtype-0,アクリル充実球10 mm径を一つ挿入したtype-1,充実球10 mm径を2個挿入したtype-2,そしてアクリル充実球20 mm径を一つ挿入したtype-3を本評価のために開発し作製した.設計にはモバイルワークステーションを使用した.それぞれのファントムにF-18溶液60 kBq/mLを封入した.そして楕円柱容器内へ設置した.このファントムを設置した楕円柱容器を10回連続してPET収集をおこなった.撮像および処理条件は臨床の場合と同じ3分収集,FBP+FOREとした.そしてPET画像における放射性薬剤分布を体積閾値関数微分係数にて定量化した.PET収集10回における体積閾値関数微分係数の変動は,どのファントムの場合でも5%未満であり再現性は高かった.このように放射性薬剤分布の繰り返し精度は5%未満であると言えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究を開始して,PETの放射性薬剤分布の繰り返し精度を調べる必要性を認識した.そこでこの項目を優先し,それ専用のファントム実験をおこなった.このことにより当初の計画より少し遅れることになったが,それ以上に成果があり,把握しなければならない繰り返し精度に関して新しい知見を得ることが出来た.そして,当初の計画書に記載されたPETの画質を評価するファントム実験を並行して行うことに関しては達成できた.
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今後の研究の推進方策 |
PETにおける入力関数(投与後直後からの内頚動脈における時間放射能曲線)の形を示すファントムを作製する.
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次年度の研究費の使用計画 |
入力関数ファントムを作製する.これは内径5 mmのチューブに挿入可能なシリコンロッド(竿状)において,先端から終端までの放射能分布が入力関数と同様の形となるようにロッド内を切削する.これを設計するためにコンピュータおよび3次元コンピュータ支援設計ソフトウェアを使用する.ロッドの切削部分に放射性薬剤を封入しチューブに挿入することで入力関数形ファントムとする.このファントムをPET撮像し,設計どおりであるかを確認する.また成果発表や資料収集をおこなうために旅費を使用する.次年度使用額が生じた状況であるが当初減額交付の可能性があったため,制限しながら使用していたので発生した.翌年度では旅費に合わせて使用する計画である.
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