研究課題
屈折率コントラストCTは高いコントラストで軟組織を描出することができる.この手法を乳がんの早期診断に適用するためには,低被曝化を実現することが不可欠である.本研究では,低被曝でデータを取得するために,シリコン製Laue型角度アナライザーを用いるCT方式を考案した.この方式により,再構成に必要な投影データを一回の計測で得ることができる.得られた投影データからCT像を形成するための再構成方法を,幾何光学理論に基づいて考察した.本再構成方法は,幾何光学の基本方程式から得られたものであり,確固とした理論的な基盤を有する.得られた再構成アルゴリズムは,計算時間も比較的少なく,高精度にCT像を3次元再構成することが可能である.シミュレーションにより,良好な再構成が可能であることを確認した.さらに,実現可能性を検討するために,高エネルギー加速器研究機構のビームラインBL-14CにCTシステムを構築した.乳癌患者から切除した組織標本を撮像することで,本システムの実現可能性を実証した.得られたCT像を組織標本を比較したところ,著しい一致を確認した.従来のX線撮像では観察することのできなかった微細な構造を描出することに成功した.従来の屈折率コントラストCT方式では,複数回の計測が必要であったのに対して,本提案方式では,一回の計測で3次元断層画像を得ることが可能となり,被曝量を少なくとも従来の半分に低減することができた.
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