研究課題/領域番号 |
23602003
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
榮 武二 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60162278)
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研究分担者 |
熊田 博明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30354913)
安岡 聖 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50200499)
照沼 利之 筑波大学, 医学医療系, 助手 (40361349)
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キーワード | 陽子線治療 / 線量分布 / GPU / 並列計算 |
研究概要 |
新しい計算法のアルゴリズムの改造を行い、画像処理用並列演算素子(GPU)での実行速度を評価しながらその性能の調査を行った。この方法は、物質中で減速する陽子のフルエンスが位相空間で混ざりながら輸送され、最終的にエネルギーが無くなり停止するまでの取扱いに粒子密度分布を使用する。各セルの粒子フルエンス、エネルギー分布を上流から順に計算するもので、取り扱う物理過程としては、厳密なモンテカルロ法のそれに匹敵する。今年度は、前年度からの方針を変更し、計算領域を分割する方法を採用し十分な速度が得られることが確認された。全体計画としては、高速アルゴリズムで治療計画データを取扱い、その性能を評価し、調整を行う予定であったが、方針の変更により、基礎的なデータを使った計算による最適化のみを集中して行った。これにより、より臨床に近い治療計画用データを取り扱うシステムの構築は実施せず、次年度(最終年度)に繰り越された。当該年度に新たに開発した方法は、分割された領域の周辺部の計算を、並列化された素子で多重に計算することになり、計算時間のロスが発生する。このため、従来の考え方では選択肢に入らない方法であったが、GPUの並列化の効果を有効に組み合わせることにより、このロスを打ち消す高速化が実現できることが判明した。本研究開始から1年以上が経過し、市販されているGPU等の性能が上がったため、研究の先進性を保持するために、当該年度の物品購入計画を変更し、最新の機器を追加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度からの計算方法の考え方を変更し、計算領域を分割する方法を採用したため、新しい方法のアルゴリズム構築に時間を必要とした。 新しい計算方法は、当初の研究計画にないアイデアを使用するものであり、初年度のプログラムに変更を加える必要があった。新方式ではGPUの記憶領域の構造に合わせて、並列化する計算範囲を最適化することができるため従来の方法よりも更に高速化が期待できる。基本的なプログラム動作のテストにより計算が正しく行われることの確認が終了している。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に計算方法の変更を行ったため、新しい方法による計算システムの構築、調整を実施する。最終的には、当初の研究計画にあわせ、臨床に近いデータを使った線量分布計算を実施し、この計算法の性能の評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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