研究課題/領域番号 |
23602005
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大久保 真樹 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10203738)
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研究分担者 |
和田 真一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80105519)
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キーワード | X線CT装置 / 変調伝達関数(MTF) / 画像再構成関数 / 点広がり関数(PSF) / 空間分解能 / 肺がん / CT検診 |
研究概要 |
肺がんが疑われる症例を集めた胸部CT検診画像データベースを用いて、コンピュータ支援診断(CAD)システムの性能を評価した。このCADは特定の画像再構成関数(関数Aとする)を用いて得られた画像を基に、開発・チューニングが行われたものである。そのため、関数A以外の再構成関数が用いられた場合にはCADの結節検出能が低下する場合がある。そこで、関数Aによる画像と、別の再構成関数(関数Bとする)による画像を用いてCADの性能評価を行った。さらに、本研究で開発した画質変換処理法を利用して、再構成関数Bによる画像を関数Aの画像の画質に変換した画像を用いた。関数Bによる画像を用いた場合のCADの性能は、関数Aによる画像を用いた場合に比べ大きく低下し、CADの性能が再構成関数に依存することが確認された。画質変換処理法によって得られた画像(関数B→A)を用いた場合には、関数Aによる元画像を用いた場合とほぼ同程度の性能が得られ、画質変換処理法の有用性が認められた。 総括として、CT装置で測定されたMTFの情報を活用し再構成された画像の画質を、他の再構成関数による画質(CADに最適な画質)に変換する手法を開発した。高い精度で画質変換が可能であり、考案法の有用性が認められた。これまでに開発されてきたCADでは各システム毎に実質的な推奨条件があり、CT画像の撮影・再構成条件に制限が設けられている場合が多い。それ以外の条件による画像を用いるとCADの性能が低下する。特に、画像再構成条件の一つである再構成関数は、画質に大きく影響する重要な因子であり、再構成関数の設定によってCADの性能が低下する場合が多い。本研究で考案した画質変換処理法を用いれば、各施設で臨床使用されてきた再構成関数を変更する必要がなく、CADの導入が容易となる。肺がんの早期発見に向けたCT検診の普及へとつながると考えられる。
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