3次元層状化ファントム: 平成24年度までに開発した病理ファントムおよび3次元病理組織ファントムを用いて医用レーダアンテナと組み合わせたイメージング評価を推進するため,多層化人体頭部ファントムの基礎検討として,主要組織である皮膚,眼球,脂肪,筋肉,骨,大脳の6 組織で構成された3次元層状化ファントムを試作した.既に提案されている骨ファントムは,組成に含まれるポリエチレンパウダーの影響のため加工性と刺入性に課題があるため,ポリエチレンパウダーを除いた組成で新たに形状模擬可能な骨ファントムの開発を行った.主剤をグリセリンとし,添加する水と寒天量を調整することで電気定数と硬度の調整を行い,形状模擬加工性と刺入性に優れた骨ファントムの開発を行った.電気定数の合わせ込みが今後の課題である. 電気定数の周波数特性を模擬するためのファントム組成設計システム:ファントムの構成要素となる試薬数として,組成の主剤となり電気特性の異なる1) 水,2) シリコーンエマルジョン,3) グリセリンの3 種類と,これに加えて比誘電率を低下し,導電率を上昇させ電気特性の最終調整に利用される4) 塩化ナトリウムの4 種を選定した. 試薬各成分の分量変化に対する電気特性の変化が局所的には直線的な特性を持つとして,目標電気特性により選択的に重回帰分析に使用する複数のサンプルを選択するアルゴリズムを開発した.具体的には,組成データリスト全体の中から目標電気定数に近い値を持つ複数のサンプルを選択する適応的重回帰分析を用いる。その後ファントム作製と測定を行い,さらにその結果を処理し組成データリストへの登録を行うことで組成データリストの更新が行われる.この一連のプロセスの繰り返しにより自動生成の組成決定精度の向上が図れるエキスパートシステムのプロトタイプを試作した.
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