研究課題
本年度はリストアップした放射性同位元素(RI)のうち残りのRIに対して核反応計算コードCCONEの計算結果と核反応断面積測定実験による測定データを比較・検討し、最も妥当なRI生成断面積を導出した。この結果のうち、ロジウム同位体の核データ評価に関する成果を2013年度核データ研究会報文集(日本原子力研究開発機構JAEA-Confに掲載予定)に投稿中である。この断面積データをベースにリストアップしたRIに対して粒子・重イオン輸送計算コードPHITSによりRI製造体系を模擬して生成放射能計算を実施した。模擬体系の条件等は昨年度と同様とし、目的とするRI及び副次的に生成されるRIの放射能を算出した。この結果から不要なRIの放射能や化学処理等による分離を考慮して目的のRIを生成可能な反応を選別し、ガンマ線放出核20種(反応数40、うち30反応による18種は無担体で生成可能)、ベータ線放出核8種(反応数19)、陽電子放出核5種(反応数9)を得た。これらの核医学利用への有効性を検討した。原料として天然元素原料の利用も想定してRIの生成量を算出した。これらの結果から化学処理等のプロセスを減らすことができ、かつ不要なRIの生成量が抑えられたRIを生成するための標的原料の条件を明らかにした。また、使用済み核燃料の組成から使用済み核燃料の有効利用の可能性を評価した。核反応断面積の入射中性子エネルギー依存性を考慮して、PHITSにより10~18MeVの範囲における生成放射能の中性子エネルギー依存性を導出した。この結果に基づいて、副次的なRIの生成放射能割合が少なく、目的の核医学用RIを効率良く生成できる最適な中性子エネルギーを決定した。また、現在利用されている核医学用RIの代替または新規のRIとしての利用を検討した。得られた結果を取りまとめ、成果発表を行う予定である。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)
Journal of the Physical Society of Japan
巻: 82 ページ: 064201(1-7)
10.7566/JPSJ.82.064201