研究課題/領域番号 |
23602017
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
稲玉 直子 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 主任研究員 (10415408)
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キーワード | DOI検出器 / PET検出器 / シンチレータ / レーザー加工 / MPPC |
研究概要 |
本研究は、近年PET検出器開発の分野で急速に普及している小型の半導体受光素子 multi-pixel photon counter (MPPC)を用い、3次元すべての方向に対し高分解能を保つことのできるPET検出器をさらに高感度化することを目的としている。検出器は、放射線を検出するシンチレータ部の全表面にMPPCを結合した構造であるが、MPPCが小型であり全面に設置しても放射線検出に障害がないためそのような構造が可能となる。シンチレータ部は、細かな立方体の3次元配列に分割されていて、MPPC信号の単純な演算ですべての分割部(セグメント)の識別を可能にすることで高分解能を達成する。 前年度、新たに開発されたレーザー加工技術によりシンチレータの3次元分割を行い、その方法が検出器性能を向上させることを性能評価により確認した。今年度は、検出器の量産や一般化する際により適した板状シンチレータの使用の可能性を調べた。板状シンチレータはレーザー加工で2次元に分割され、積み重ねることによりセグメントの3次元配列を実現する。レーザーによる厚いシンチレータの3次元分割の加工に比べると一般的な技術である薄いシンチレータに対する2次元分割を積極的に用いるのである。実験の結果、板状シンチレータは2 mm角の立方体にまで分割した場合でも、結晶識別能・エネルギー分解能においてレーザー加工のみで3次元分割した場合と同等の良い性能を示した。この結果は、PET検出器分野の研究者が集まる国際学会で口頭発表に選出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
板状シンチレータを用いるという新しい方法を試し、有用であることを実証し、学会発表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
高分解能を目指しシンチレータ部の1セグメントをさらに細かくし、感度を保つためにシンチレータの外寸を変えない場合、識別しなければならないセグメント数は格段に増える。例えば、2 mm角の立方体のセグメントを1 mm角にすると、3次元配列なので6倍となる。昨年度の実験の中で、板状シンチレータで 1 mm角のセグメントに対し良い性能が出そうな傾向が見られたため、解析しまとめたものについて学会発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
最終年度である次年度で、研究の成果についての学会発表を積極的に行うこととし、研究費をそのための旅費、参加費に使用する。また、特に国際学会への学会参加を通し、同様に高感度、高解像度を目指した研究の動向を探る。
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