研究課題/領域番号 |
23602018
|
研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所) |
研究代表者 |
蓑原 伸一 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, その他 (60239332)
|
研究分担者 |
山本 直敬 独立行政法人放射線医学総合研究所, その他部局等, 研究員 (90300912)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 仮想内視鏡 / 治療計画線量分布 / 重粒子線治療 |
研究概要 |
本研究の目的は、放射線治療計画用CT画像をもとに生成した管腔臓器の仮想内視鏡画像上に、治療計画装置で計算した線量分布をボリュームレンダリング法で重畳表示し、管腔内の任意の方向から内面の線量分布を確認する装置を開発・臨床化することにある。これまでに開発した仮想内視鏡線量分布表示ソフトウエアでは、線量分布をカラーマップとして管腔内面に表示出来たが、医師による視覚的な参照・比較であったため、その臨床利用が事後評価に限られている。視覚的な判断のみでは、治療計画の事前評価として線量分布の改善をするための指標を得るのが難しく、また視野を腔内に限定するために逆に周辺臓器との3次元的な位置関係の把握が難しくなる場合がある。本年度は機能の追加として、別途に抽出した3次元臓器形状の外表面にも線量分布を重畳表示するソフトの試作をおこなった。また本ソフトウエアに利用できる線量分布データは、放射線医学総合研究所で重粒子線治療用に開発された治療計画装置(HIPLAN)のデータ構造に特化したもので、商用の治療計画装置のデータ構造には対応していなかった。一方放医研では、治療計画装置のベースに商用の装置を用いる作業が平成23年度に進み、本ソフトウエアもこのデータ構造に対応する必要があった。このため当初計画ではH24年以降に予定していた標準的なデータ構造への対応を先行して進め、商用治療計画装置(Xio、エレクタ社)の線量分布出力データをフォーマット変換して仮想内視鏡線量分布表示ソフトウエアに読み込めるようにした。これによって商用機の出力する重粒子線治療計画の線量分布が表示出来るようになったとともに、同じソフトで光子線の線量分布も表示可能になる。 さらに23年度は3名の肺がん患者について、重粒子線治療計画の気管支仮想内視鏡線量分布を作成し、照射前後における実際の内視鏡観察画像との臨床的比較をおこなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
商用の標準的な治療計画装置からの線量分布データをフォーマット変換して読み込めるようにしたことで臨床的な対応が広がった。特に放医研独自の重粒子線治療計画装置にしばられず、さらに光子線治療計画に対しても可能となる。この機能拡大の臨床的な利用評価は、H24年度以降でおこなう予定である。 一方、本件の仮想内視鏡線量分布表示ソフトウエアは、商用の画像ビュアVirtualPlace(AZE社製)上で動作するものであるが、機能の追加改良は本装置の他機能との整合性から制限され、ソフトウエアの直接的な改造が難しい。このため表示したい線量分布を、事前に本ソフトで取込可能なファイルに変換し表示するなどの工夫が必要となる。H23年度おこなった機能追加では、線量分布をCT画像の幾何学的座標系に対応したDICOM形式のファイルに変換し、これを読み込んで画像合成の標準機能を利用して表示するようにした。これによって目的とした機能は実現できるものの、そのための作業が煩雑になるという問題がある。
|
今後の研究の推進方策 |
商用の標準的な治療計画装置からの線量分布データをフォーマット変換して読み込めるようにしたことで臨床的な対応が広がった。特に放医研独自の重粒子線治療計画装置にしばられず、さらに光子線治療計画に対しても可能となる。この機能拡大の臨床的な利用評価は、H24年度以降でおこなう予定である。 一方、本件の仮想内視鏡線量分布表示ソフトウエアは、商用の画像ビュアVirtualPlace(AZE社製)上で動作するものであるが、機能の追加改良は本装置の他機能との整合性から制限され、ソフトウエアの直接的な改造が難しい。このため表示したい線量分布を、事前に本ソフトで取込可能なファイルに変換し表示するなどの工夫が必要となる。H23年度おこなった機能追加では、線量分布をCT画像の幾何学的座標系に対応したDICOM形式のファイルに変換し、これを読み込んで画像合成の標準機能を利用して表示するようにした。これによって目的とした機能は実現できるものの、そのための作業が煩雑になるという問題がある。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本ソフトウエアが動作する商用画像ビュアVirtualPlaceのソフトを直接的に改造することは予算的に難しいが、一方ビュアが標準で有する画像Fusion機能を利用することで、線量分布評価の参照となる輪郭情報等を重畳表示出来ると考えられる。そこで今年度は、重畳する3次元線量分布のデータに輪郭データ等を組み入れるソフトの試作をおこない、臨床レベルで利用可能かの評価をおこなう。 H24年度はこのソフト開発、及びこれまでの成果発表に研究費を使用する。
|