研究課題/領域番号 |
23603001
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊東 弘行 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30372270)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | バイオマス / 非平衡プラズマ / 熱分解 / 液体燃料 / 選択的合成 |
研究概要 |
本研究は、熱分解に非平衡プラズマを用いることで利用価値の高い軽質タールを選択的に高収率で得る手法の実現を目指し、バイオマスの熱分解過程に非平衡プラズマを供給した際の炉内温度とプラズマ性状の合成液体炭化水素性状への影響を調べ、非平衡プラズマの作用メカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度は、実施計画の通り、まずバイオマス熱分解に非平衡プラズマを供給した場合の、生成温度領域と収率、および生成される熱分解液の分子量分布の変化を調べた。単段の電気炉に通した石英管内にバイオマス原料(セルロース:5g)を設置してアルゴン雰囲気で加熱熱分解するとともに、プラズマトーチよりアルゴン非平衡プラズマを供給して、熱分解生成物(軽質タール、重質タール、ガスおよびチャー)の収率、軽質タールおよびガス成分の変化を調べた。昇温速度10℃/min.で室温から600℃まで加熱し、DBDプラズマ供給電圧を6.0および7.0kVとした。非平衡プラズマを供給することにより、ガスおよび軽質タール収率が減少する一方で、重質タール収率は増加した(チャー収率は不変)。またその傾向はプラズマ供給電圧の増大とともに顕著になった。このことから、非平衡プラズマの供給によりガスおよび軽質タールの重合化が促進され、熱分解物成分を重質化する方向へ変化させられることが示唆された。また、非平衡プラズマ供給により、レボグルコサン(C6H10O5)をはじめとした軽質タール収率のピークが、高温域(400~500℃)から低温域(~400℃)にシフトし、低温領域でセルロースの熱分解液化を促進できることが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験装置製作および実験実施と、ほぼ実施計画通りに実施されている。今年度の目標としたアルゴン非平衡プラズマの熱分解生成物成分への影響を概略捉えることが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き、まず単段反応による熱分解合成物へのアルゴン非平衡プラズマの効果を確認する。とくに、反応管壁面での凝集の効果を除外するため、非平衡プラズマ供給開始温度を変更して実験を行う。単段反応において、周囲不活性ガスに水素、アンモニアあるいは水等を混入することによりプラズマ性状を変化させ、熱分解温度領域の変化および熱分解合成物への影響を調べる。 熱分解により放出されるガスおよびタールを単段反応合成装置に導き、熱化学反応進行過程における非平衡プラズマ供給の効果を確認する。これら知見をもとに、2段反応を用いた軽質タールの選択的合成条件について検討し、実験を行う。また、熱分解反応への触媒および電場印加の影響を調べ、生成物の選択的合成への適用可能性を確認する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
-
|