研究課題/領域番号 |
23603006
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
鈴木 健児 神奈川大学, 工学部, 助手 (70322534)
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キーワード | 水圧駆動 / 揺動アクチュエータ |
研究概要 |
平成24年度は,平成23年度に構築した水圧シリンダ変位制御システムによって,シリンダ変位の制御が行えるようにした.また,90°の揺動角をもつ揺動アクチュエータを開発し,角速度制御のための数学モデルを構築した. 水圧比例弁および水圧シリンダの数学モデルを確立するため,オープンループでのシリンダ駆動を行った.直接測定が不可能な未知のパラメータの推定を行い,数学モデルに組み込んで,フィードバック制御のシミュレーションを行った. 構築した1自由度のサーボシステムの制御には,PCベースのDSP開発プラットフォームを使用した.これは,MATLAB/Simulinkで作成した制御則から生成された実行可能モジュールを,DSPにダウンロードして実行するものであり,制御プログラムの開発効率を高めるものである.また,アナログ及びデジタルの入出力ボードを増設することができるため,以後の開発で目指す多自由度の制御に拡張することも容易である.このDSPによる制御器を用いて,シリンダ変位をフィードバック制御することができた. 脚機構の関節を駆動するためには揺動運動が必要であるが,直線的に運動するシリンダによって揺動運動を得るためには,リンク構造にしなければならない.しかし,(1)揺動角によって駆動トルクが変化する,(2)支点・力点・作用点が一直線上になる死点が存在する,(3)シリンダの配置によって揺動角に制限が生じるなどの構造的問題がある.そこで,揺動運動が直接得られるベーン型の揺動アクチュエータを開発し,その基本性能を測定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DSPを用いて水圧シリンダ変位のフィードバック制御を行うことはできた.また,脚機構の関節を直接駆動するための,揺動アクチュエータの開発も行った.揺動アクチュエータの角度制御を行うための数学モデルを構築するために必要な,起動トルク特性や内部漏れ流量特性などの基本性能を測定し,角度制御を行うためのシミュレーションも行った.したがって,多自由度の脚機構を構成する要素はほぼ開発することができたため,研究はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
まず,水圧シリンダを使用した揺動リンク機構を製作し,揺動角のフィードバック制御を行う.最後に,揺動リンク機構に揺動アクチュエータを追加し,二自由度の制御系を構築する.これにより,最終的な開発目標である,三自由度の脚機構を開発するための基盤技術を確立する. なお,開発した揺動アクチュエータは,内部構造の制約のため揺動角が90°であり,脚機構としてはさらに揺動角の拡大が必要である.そこで,水圧用として適した構造の,270°の揺動アクチュエータの開発も行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は,二自由度を同時に制御するサーボシステムを構築する予定であったが,試験装置の都合により,水圧比例弁1台で2つのアクチュエータの試験を行ったため,その分の研究費を使用しなかった. 次年度は,新たに一自由度の水圧サーボシステムを追加するため,現在使用しているものと同じ仕様の水圧比例弁を1台製作する.また,270°の揺動アクチュエータを新たに設計製作する.試作機は既に製作してあるが,試作機で明らかになった問題点を解消した改良機を製作する.
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