本研究では,まず制御のための要素技術を確立した後に,制御システムを構築し,それらを用いてリンク機構の制御を行った.さらに,新たな構造のアクチュエータの開発も行った. 平成23年度は,独自に開発していた水圧比例弁内部でのフィードバック制御が行えるようにし,それを用いた水圧シリンダ制御システムを構築した.水圧比例弁はスプール弁形式で,ステッピングモータの回転をカム機構によってスプールの直線運動に変換しており,独自に開発したものである.スプールの変位を,ステッピングモータの回転角にフィードバックするための内部制御系を,マイコンを用いて構築した.開発した水圧比例弁の静特性および動特性を測定した結果,市販の油圧用比例弁と同等の動特性を有することが確認できた. 平成24年度は,水圧シリンダ変位制御システムを用いて,シリンダ変位のフィードバック制御が行えるようにした.脚機構の関節を駆動するためには揺動運動が必要であるが,直線運動するシリンダによって揺動運動を得るためには,リンク機構を構成しなければならない.しかし,(1)揺動角によって駆動トルクが変化する,(2)支点・力点・作用点が一直線上になる死点が存在する,(3)シリンダの配置によって揺動角に制限が生じるなどの構造的問題がある.そこで,揺動角が直接得られるベーン型の水圧揺動モータを開発した.揺動角は90°である.その基本性能を測定するとともに,角速度制御のための数学モデルを構築した. 平成25年度は,水圧シリンダを用いた揺動リンク機構を製作し,揺動角のフィードバック制御を行った.また,揺動リンク機構に揺動モータを追加し,二自由度の制御系を構築した.さらに,揺動角が270°の水圧揺動モータを開発し,基本性能を測定した.これにより,動作領域の大きな三自由度の水圧脚機構を構築するための基礎技術を確立することができた.
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