研究課題/領域番号 |
23610004
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
吉井 美知子 三重大学, 国際交流センター, 教授 (30535159)
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キーワード | 市民社会 / 児童問題 / 子どもの保護 / ベトナム / 福島 / 放射能 / NGO / NPO |
研究概要 |
市民社会による児童問題解決への可能性を探る研究の3年目として、2013年度は研究成果の社会還元に注力するとともに、追加のフィールド調査と各種講演会や学会、研究フォーラム等への参加を通して、さらなる知見と人脈の獲得に努めた。 まず6月2日鹿児島大にて開催の東南アジア学会でベトナムに関するパネルを企画、4月から6月にかけ京都や東京に出張して準備を進め、ベトナム研究者のなかからメンバーを募ってパネリスト4名、コメンテーター2名、司会1名の計7名をまとめあげて初のパネルコーディネーションを成功させた。また学会本番の鹿児島出張に併せ、水俣および薩摩川内においてフィールド調査を行った。 8月には、シンガポールに出張し、世界中から集まったベトナム人研究者によるHoi Thao Mua He (Summer Seminar) にて研究成果をベトナム語で発信した。これがベトナム本国から来ていた大学関係者に非常な反響を呼び、9月および3月にベトナムへ赴いた際には2ヶ所の現地の大学計3回の講演を行うとともに、現地紙に記事を寄稿した。 その後10月から12月にかけては体調不良のため成果発信の頻度は少し落ちたが、1月より復活し、2月には今後の研究打ち合わせと成果発信のため再びベトナムへ、3月には福島へ出張し追加のフィールド調査を行うことができた。 以上の三国における研究成果発表および国内におけるフィールド調査に加え、東京、名古屋、大阪、四日市、長野、千葉に頻繁に出張して、研究会、学会、セミナー、シンポジウム、フォーラム等に積極的に出席した。これにより研究に必要な知見を得るとともに、研究者間の人的ネットワークを構築することができた。また研究成果は研究書として執筆、入稿が完了し晃陽書房より2014年4月に出版が決まっている。さらに年間の新聞・雑誌記事4本、講演14本を通して研究成果の社会還元を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3年計画のうちの最終年度にあたる2013年度において、前半の研究は概ね順調に進展していたが、秋に体調不良となったために、当初予定の国際学会での成果発信の一部を2014年度へと持ち越すなど、一部に予定変更を余儀なくされた。 それでも、当初予定の研究書は遅延こそしたものの、2014年4月に発刊の見込みであり、またこれを補って余りあるばかりの記事執筆や講演での発信を行うことができた。本研究テーマは市民社会についてのものであり、そもそもその主役である市民社会への成果還元こそが最重要であると考える。論文という形での主として研究者を対象とした発信よりも、講演会や記事という、市民を対象とした形での還元により多くの注力をした所以である。それが結局、年間14本という膨大な数の講演数になって残った。講演の場所は、東北から九州まで、そしてベトナムをも含んでいる。論文にならなかったことは残念だが、研究費の出所である多くの納税者に還元できたと自負している。
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今後の研究の推進方策 |
第1年度から第3年度までに多くの成果を上げた。国際学会での発表3本、国内学会での発表4本、紀要報告の公刊が2本、研究書(共著)「アジアの市民社会とNGO ―貧困と格差の解消は可能なのか―」の出版(予定)が1冊、講演23本、雑誌・新聞記事12本がそれに当たる。延長期間にあたる第4年度は、これらの総まとめを行いたい。 具体的には、7-8月に予定されているフランスにおける国際学会での成果発信がある。そして成果を論文にまとめ、日本語以外の言語でも発信したいと考える。これは2013年度の経験から、本研究成果が日本人にも増して、ベトナム人から大反響を得ていることにも対応した計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年秋からの体調不良により、一時、研究に割くエネルギーの削減を余儀なくされた。このため11月の韓国での国際学会への参加を断念、3月の米国での国際学会での成果発表を考えたがうまく研究者を集められずパネルを形成できなかった。このため、成果発表の一部を次年度に持ち越すこととした。 次年度は国際学会発表のため、7-8月にフランスへ出張する予定である。第3年度より繰り越された40万円余りの予算は、主としてこの出張旅費と国際発信する論文の校正費用に充てたいと考える。 また本科研費の研究のために2011年度より入会した学会・研究会が4件あり、これらの年会費もここから支出する予定である。
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