研究課題/領域番号 |
23610009
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
宮本 要太郎 関西大学, 文学部, 教授 (10312779)
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研究分担者 |
稲場 圭信 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (30362750)
金子 昭 天理大学, おやさと研究所, 教授 (90214452)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 無縁社会 / 宗教の社会貢献 / 支縁のまちネットワーク |
研究概要 |
本研究の主たる目標は、今日の日本社会において宗教者や宗教団体などによって実践されている社会活動の実態を把握し、その背後に働いている動機や理念を明らかにすること、これらの活動に参画している人々が抱えているジレンマを明確にしつつ、それらをどのように克服してきたかを跡付けること、社会活動を行っている宗教者たちを個別に取り上げるだけでなく、現場の宗教者たちの間の、さらに宗教者以外の団体や地域住民などの間の、信頼関係に基づくネットワーク構築の可能性を探ることである。そのために平成23年度は、主として釜ヶ先をフィールドとして、異なる宗教的背景を持ちながら一般市民の生活空間から排除された人々に寄り添い、連帯し、共生しようと地道に活動を続ける宗教者たちを対象に、もっぱら聞き取りを中心とした調査を行い、個別のライフヒストリーを描き出すとともに、他の地域における活動も視野に入れて宗教の社会活動の実態把握を目指す予定であった。 しかしながら、研究開始直前に発生した東日本大震災により、研究計画は若干の変更を余儀なくされた。釜ヶ崎での調査よりも、被災地において展開されている宗教の支援活動の実態調査を優先したのである。具体的には、福島県いわき市(金子、渡辺)および宮城県石巻市(宮本)において調査を実施した。平行して、当初の予定通り、釜ヶ崎において継続されている宗教者の、とりわけホームレスの人々を対象とした支援活動の実態を明らかにすべく、救世軍西成小隊や大阪瑞光教会において聞き取り調査を実施した。また、平成24年1月には韓国・圓光大学校で開催された東亜宗教学術FORUM2011年度研究報告会に、金子、白波瀬、中西が参加し、研究報告を行なった。さらに、同年2月には金光教大阪センターにおいて「支縁のまち」研究交流集会を開催し、日頃から社会活動に従事している宗教NPOなどの諸団体を交えて意見交換を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始直前の平成23年3月11日に発生した東日本大震災による被災地の実態調査が喫緊の課題として浮上し、研究代表者、研究分担者、研究協力者がいずれも、現地調査を優先して行なったため、当初の目的である釜ヶ崎を中心とした宗教者や宗教団体の社会活動の実態把握が予定通り進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年8月に韓国・ソウルの圓光大学校で開催される予定であった東アジア宗教文化学会学術大会において研究の中間発表を計画していたが、東日本大震災の影響で中止となった。代わりに、平成24年1月に開催された東亜学術FORUM2011年度研究報告会において研究の一部を発表した。また、平成24年8月もしくは9月に台湾・台北の中央研究院において現地の研究グループとの研究会を実施する方向で調整中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は、予定していた海外での学術発表が実施できなかったために、繰越金(約46万円)が発生した。次年度分と合せ、約96万円となる。 平成24年度は、8月もしくは9月に台湾・台北の中央研究院において、現地の研究グループとの研究会ならびに合同調査を計画している(研究代表者および研究協力者の海外出張経費として40万円)。平行して、釜ヶ崎を中心に、主にホームレスの人々を対象に社会活動を実践している宗教者・信仰者たちからの聞き取り調査を継続して行なう(謝礼などで40万円)。また、研究成果の一部を、9月7日~9日に開催される日本宗教学会で発表する予定である(国内旅費などで6万円)。なお、研究に関連する書籍の購入も予定している(10万円)。
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