研究課題/領域番号 |
23610011
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
竹島 正 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神保健計画研究部, 部長 (20300957)
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キーワード | 芸術諸学 / 医療・福祉 / 精神疾患経験者 / 美術活動 / メンタルヘルスプロモーション / 1 / 1 / 1 |
研究概要 |
本研究は,芸術活動を生きがいとしている精神疾患当事者(以下,当事者)の人生と,人生の各段階において制作された作品を,精神保健,芸術の観点から観察し,共生社会の実現に向けての啓発資材を作成することを目的とする。 23年度は,倫理審査の承認を受けた上で,全国精神保健福祉連絡協議会のウエブサイトのバーチャル美術館「こころをたずねる」に作品を出している当事者,または本研究の研究協力者を通じて協力を依頼することのできた当事者のうち,(1)成人である,(2)作品から,人生における精神疾患の経験,よろこびや悲しみ,作品の変化を捉えうると,精神保健,美術の専門家が判断される,(3)本人または家族から,インタビューと作品の写真撮影の同意が得られることを条件に,15名にインタビューを行った。 24年度はインタビューの要約をもとに啓発資材の構成をまとめ,本研究に協力する精神保健,芸術の専門家の意見を聴取すると共に,アートセラピスト,精神保健啓発雑誌の編集者の意見聴取を行い,啓発資材案として「やさしさのなかの,たくましい生き方~芸術活動を続けている当事者から学ぶこと~」を作成した。啓発資材案は,最終的に同意を得られた13名のインタビューの概要と作品画像を中心に,本研究の成果物である啓発資材の評価への協力依頼等で構成されている。さらに啓発資材に掲載するインタビュー要約と作品画像の本人への確認を行い,本人による修正を踏まえて,25年度研究に使用する啓発資材の内容を確定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,芸術活動を生きがいとしている精神疾患当事者(以下,当事者)の人生と,人生の各段階において制作された作品を,精神保健,芸術の観点から観察し,共生社会の実現に向けての啓発資材を作成することを目的とする。24年度までの2年間において啓発資材案の内容を確定したことから,最終年度である25年度は,それをもとにした実際の啓発教育とその評価を行うことができる。なお,本研究による啓発資材は,保健医療福祉の専門職教育にも適しているというアートセラピスト,精神保健啓発雑誌の編集者の意見があったことから,看護師,作業療法士,精神保健福祉士等の専門職になろうとする学生に啓発教育の試行とその評価を行うこととしている。
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今後の研究の推進方策 |
本年7月をめどに,インタビューに協力のあった当事者に,啓発資材全体の内容確認を依頼する。そのうえで本研究に参画するデザイナーの協力を得て冊子体となった啓発資材をまとめる。 冊子をまとめる間に啓発教育のシナリオと,評価のための質問紙調査を確定し,10-12月に実際の啓発教育を行い,その評価を報告書にまとめる。 なお,本研究の協力者に対する倫理面への配慮から,本研究に関する具体的な研究発表は,冊子体となった啓発資材をまとめるまでは行わないこととしているため,10月以降は学会発表等も行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
開発資材案を冊子にする印刷製本代,評価のための質問紙調査及び、データ入力にかかる費用が主な支出となる。その他、調査旅費・調査協力謝金・会場費、共同研究者・インタビュー協力のあった当時者等との通信・連絡にかかる費用、消耗品等が見込まれる。
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