研究課題/領域番号 |
23610012
|
研究機関 | (社)部落解放・人権研究所(企画・研究部) |
研究代表者 |
妻木 進吾 (社)部落解放・人権研究所(企画・研究部), その他部局等, 研究員 (60514883)
|
研究分担者 |
野口 道彦 大阪市立大学, 公私立大学の部局等, 名誉教授 (00116170)
内田 龍史 (社)部落解放・人権研究所(企画・研究部), その他部局等, 研究員 (60515394)
堤 圭史郎 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (70514826)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 社会学 / 共生・排除 / 社会的排除・包摂 |
研究概要 |
日本社会における社会的排除の集積地であると同時に、社会的包摂の取り組みが集中的になされてきた地域として被差別部落(同和地区)を取りあげ、その社会的排除/包摂の実態と近年の変容を、国勢調査小地域集計やインテンシブなコミュニティ・スタディの手法から、一般公営住宅街との比較をおこないつつ実証的に把握する----これが本研究の目的である。こうした把握を通して、貧困・社会的排除状態が空間的に集積した地域の社会的包摂に向けた、社会制度・支援策のあり方について検討することを目指す。 初年度にあたる平成23年度は、(1)社会的排除地域に関する理論的整理と並行して、(2)国勢調査小地域集計を用いた被差別部落の類型化作業を進めた。具体的には、兵庫県と大阪府について、小地域と被差別部落の範域の重なりを調べた上で、ひとまず兵庫県の特徴的な4地域を選定し、当該地域を含む市区町村と比較しつつ、1995年から2010年にかけての変容と現状について国勢調査小地域集計データから把握を試みた。このうち3地域については、統計データだけでは分からない地域の実情と変容について把握するために、(3)インテンシブなコミュニティ・スタディの第一弾として、各地域の地域活動関係者をインフォーマントとする聞き取り調査や資料収集を実施した。 (2)(3)により、いくつかの被差別部落の実態と近年の変化の大枠を把握することができた。過去数十年間にわたり統計的な実態把握がなされていない地域もあり、地域の現状と変化の把握はそれ自体でも意味があるが、それ以上に、今後の本格的な類型化作業、一般公営住宅街との比較に向けた、基礎的な分析方法・視角を得られたことが大きな成果である。 これら成果を得るために、全員参加の研究会を6回、一部メンバーでの小研究回を数回開催した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画では、初年度に「(1)国勢調査小地域集計を用いた被差別部落の類型化」、2年目に「(2)インテンシブなコミュニティ・スタディ」を実施する計画であったが、統計データのみでは適切な類型化が困難であることがわかったため、(1)(2)を組み合わせた形で、初年度は研究を実施した。全体としてみた場合、おおむね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究実施計画では、初年度に「(1)国勢調査小地域集計を用いた被差別部落の類型化」、2年目に「(2)インテンシブなコミュニティ・スタディ」を実施する計画であったが、統計データのみでは適切な類型化が困難であることが分かったため、初年度同様、2年目も(1)(2)を組み合わせて、被差別部落の実情と変化について把握していく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
初年度は、研究代表者と分担者の就業先が全国に散らばったことにより、研究会開催の交通費が予定以上に必要になったが、購入予定だった国勢調査小地域集計データを地方自治体から無償で入手できたことで、全体としては予算を圧縮することができた。結果、次年度使用額が生じることになった。 次年度は、初年度同様、「(1)国勢調査小地域集計を用いた被差別部落の類型化」「(2)インテンシブなコミュニティ・スタディ」を組み合わせて、被差別部落の実情と変化について、一般公営住宅街と比較しつつ把握し、その類型化を試みる。その上で、抽出された地区類型の典型的な地域について、インテンシブなコミュニティ・スタディにより地域の実態を把握する。 調査研究の遂行にあたっては、調査地に行くための旅費、研究打ち合わせ、研究の検討、研究成果を学会で報告するための旅費も必要である。さらに、質問紙調査を実施するための調査票、封筒などの印刷費などが必要である。また、調査対象者、専門的知識の提供者に対する謝礼、調査データの収集、整理のための謝金、データ入力のための謝金が必要である。
|