研究課題/領域番号 |
23610012
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研究機関 | (社)部落解放・人権研究所(企画・研究部) |
研究代表者 |
妻木 進吾 (社)部落解放・人権研究所(企画・研究部), その他部局等, 研究員 (60514883)
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研究分担者 |
野口 道彦 大阪市立大学, 公私立大学の部局等, 名誉教授 (00116170)
内田 龍史 (社)部落解放・人権研究所(企画・研究部), その他部局等, 研究員 (60515394)
堤 圭史郎 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (70514826)
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キーワード | 社会学 / 共生・排除 / 社会的排除・包摂 |
研究概要 |
日本社会における社会的排除の集積地であると同時に、社会的包摂の取り組みが集中的になされてきた地域として被差別部落(同和地区)を取りあげ、その社会的排除/包摂の実態と近年の変容を、国勢調査小地域集計やインテンシブなコミュニティ・スタディの手法から、一般公営住宅街との比較をおこないつつ実証的に把握する--これが本研究の目的である。こうした把握を通して、貧困・社会的排除状態が空間的に集積した地域の社会的包摂に向けた、社会制度・支援策のあり方について検討することを目指す。 2年目にあたる平成24年度は、これまでの成果として兵庫県の被差別部落の実態と変容を3本の論文(「特集 国勢調査を活用した部落問題調査・兵庫県」『部落解放研究』195号)にまとめた。また、当初は国勢調査小地域集計を用いた被差別部落の類型化作業を、 インテンシブなコミュニティ・スタディと組み合わせながら実施する予定であったが、本年度に入って、大阪府の被差別部落・公営住宅街の住民の生活実態をより詳細かつ時間の幅を持って把握可能な統計データの利用可能性が出てきたため、調査エリアを少数に絞らざるを得ないインテンシブなコミュニティ・スタディに代えて、当該データを活用した実態把握に研究方法の重点を移すことになった。そのため、本年度後半は、国勢調査小地域集計を用いた類型化作業を一層進めるとともに、当該データを用いた実態把握のための分析手法の確確立に向けた作業、データ整理などの分析に向けた準備作業を、研究会を繰り返し開催しながら着実に進めてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たなデータの利用可能性が出てきたため、本年度はこのデータの活用に向けた準備作業に注力することになった。当初の予定とは異なっているが、被差別部落の社会的排除/包摂の実態と近年の変容を一般公営住宅街との比較をおこないつつ実証的に把握するという本研究の目的により適したデータであり、その活用に向けた作業は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画では、初年度に「(1)国勢調査小地域集計を用いた被差別部落の類型化」、2・3年目に「(2)インテンシブなコミュニティ・スタディ」を実施、3年目はあわせて成果を学会報告や報告書の形で公表していく計画であったが、少数の地域のインテンシブなコミュニティ・スタディよりも、本研究目的の達成により適した統計データの利用可能性が出てきたため、当該データを活用した実態把握に研究方法の重点を移すことになった。今後は、1・2年目の成果を踏まえ、被差別部落の実態と変化を、公営住宅街と比較しつつ、詳細かつ網羅的に明らかにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
2年目は、インテンシブなコミュニティ・スタディの遂行のための旅費や質問紙調査の実施費用(データ入力の謝金など)を研究費として計上していたが、コミュニティ・スタディではなく、本研究目的の達成により適した統計データの利用に研究の重点を移した結果、次年度使用額が生じることになった。 最終年度にあたる本年度の調査研究の遂行にあたっては、当該統計データの分析のための研究会、研究打合せ、研究成果を学会で報告するための旅費が必要である。さらに、大量データの分析のためのパソコン環境の整備が追加的に必要である。また、専門的知識の提供者に対する謝礼、調査データの加工・整理等の作業にかかわる謝金が必要である。
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